ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「巴里の空の下、セーヌは流れる」@AmazonPrime

211230 SOUS LE CIEL DE PARIS 仏 1951年、120分 原案・脚本・監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ(「陽気なドン・カミロ」、「アンリエットの巴里祭」、「我が青春のマリアンヌ」)

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シャンソンの方を先に知っていて、映画は今回初めて鑑賞。どこでこのシャンソンが流れるのかと思ったら、意外なところでした。多分、それほど意識しないで、挿入歌として設定。その後、歌だけが単独ではやっていったということのようです。

ユベール・ジローという人の作曲で、映画ではジャン・ブルトニエール(歌手としてはほぼ無名)という歌手がかなりさらっと歌っちゃっています。カヴァーしている歌手はリーヌ・ルノーをはじめとして、ピアフ、モンタン、アズナブール、グレコ、最近ではザーズなど、多数。挿入歌としての歌の方がヒットしちゃう例は少なくありませんが、これなどは代表的でしょうか。

パリの早朝から深夜までに起きる群像劇です。軸になるのは、パリに住むファッション・モデル、マリー=テレーズを田舎から訪ねてくる友人のドニーズの話です。いくつかの話が絡み合うという展開で、悲劇も含まれます。

あの時代のパリの街並みが活写されていて、それを見るだけでも楽しくなります。フランスは一応第2次大戦戦勝国ですから、爆撃もなく、街の保存状態は羨ましいほど美しいです。今と大して変わりません。庶民の生活ぶりが生き生きと描かれていて、撮影も実写とスタジオ撮影をうまく撮り分けています。

出演者、残念ながらその時代ですから、誰一人知りません。それほど目立つ、存在感たっぷりという俳優がいないのもむしろよかったのかも知れません。あえてとびっきりの美人や美男をキャスティングしなかったのか、そもそもその頃はいなかったのか・・・。

全体として、殺人事件は不幸にして起きますが、ほのぼのとした気分にさせてくれる作品です。