ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ザ・ハント ナチスに狙われた男」@AmazonPrime

220326 DEN 12. MANN(ノールウェイ語、12番目の男)ノールウェイ 2017 2時間15分 監督:ハラルド・ズワルト

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ノールウェイ映画も珍しいです。ラストを除き全編ノールウェイが舞台ですから、まあ、当然です。映画の中の言語も8割がノールウェイ語、2割がドイツ語です。国土がナチスに蹂躙された第2次大戦末期の話です。
 
ある対独特殊作戦に参戦した12名のノールウェイ工作員のうち、1名、中尉のヤン(トマス・グルスタッド)だけをドイツ軍が取り逃し、彼が持っているはずの極秘情報をなんとしても敵側、つまり連合軍側に落ちるのを阻止しようとするドイツ軍、率いる指揮官はクルト(ジョナサン・リス=メイヤーズ)との息詰まる逃亡・追跡劇です。
 
しかも、舞台は極寒の極北です。水温マイナス何十度のフィヨルド、かなたに見える山々は雪と氷に閉ざされています。時に氷水に長時間浸かりながらの逃亡劇ですから、見ているだけで厳しさがひしひし伝わってきます。ついに凍傷にかかったヤンは、壊死しはじめた自分の足の一部を自ら切り取るのですが、とても正視に耐えられるものではありませんでした。
 
当然、撮影も過酷を極め、あんな役をやるんなら俳優なんぞにならなければよかったと絶対みんな思ってたはず。いやはや、もうそれだけでこちらは脱帽するのみ。
 
追う側のクルトは、常識を超えた執拗さで、部下たちがなんども捜索しても見つからず、フィヨルドで溺死を疑わないのですが、クルトは死体が上がるまでは諦めないんですね。まったくとんでもない奴に狙われたヤンも、ほんとにツイてません。

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疾走するトナカイにくくりつけられたソリで決死の国境越え
それでも、最後はトナカイに助けられて、国境線を越えてスェーデン側へ辿り着くヤン。こうなればしつこいクルトも諦めざるを得ません。こうしてナチスにとって今後の命運を決定づけるような極秘書類が連合軍側に渡ったのでした。これも、実話ということです。最近、多いですね、実話に基づく作品が。