ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

メンデルスゾーンV協(前橋汀子)と「新世界より」(コバケンw/東響)

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満員でした。V協だからできるだけ前でということで、1階2列目の中央でしたので、手を伸ばせば届く距離に前橋さんもコバケンさんも。ヴァイオリンのソロはこの距離で聞いて愚亭にはちょうどよい感じなんです。もちろんシンフォニーは2階席の方がいいんですが、今日は前橋汀子さんに敬意を表して、1階C2-17という席を買っていました。

前橋さんを生で聴いたのは、記憶にないほど遠い昔なので、今日目の当たりにして、かなり驚きました。ま、細かいことはコメントしませんが、演奏はやはりというか当然枯れていてたのですが、細かいテクニックはさすがでした。それにこんなに小柄だったかな、というほどでしたが、オーラがびんびん伝わってきました。多分、この名曲は何百回と弾かれているはずです。

それと終演後の仕草がなんとも堂々としてチャーミングでした。演奏活動60周年というのですから、大したもんです。コバケンさんもしきりにアイコンタクトで敬意を表しているように見えました。ただ、弓の張り具合と肩当て器のゆるみが気になるらしく、演奏中もなんどかチェックしたり調整していたので、聴衆側もその所作が気になった次第。

20分の休憩後、いよいよ愚亭が最も好きな曲の一つで、メロディーはすみずみまで身体に染み込んでいる感じの「新世界より」です。定年退職後、出かけたプラハでの投宿先が偶然ドボルジャーク博物館のすぐそばでしたから、もちろんすぐに訪問し、彼に関するさまざまな写真や資料類を興味津々で見てきました。

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この川井真由美さん、ちょうど真正面に見えてました。この記事の内容を読んで、動きも注視していました。今日はチェロを中心に聞いていた感じです。なるほど、中で実際に演奏している方々って、こんなことを感じているんだなと、これまた目から鱗で聞いていました。

開演前にセットされている楽団員たちの椅子を見ていたら、コンマスチェリスト全員は座面の上下可変の椅子なのは当然として、なぜかセカンド・ヴァイオリンのトップと2番もが同じ椅子をあてがわれていました。ところが、上手側のヴィオラの首席と2番は普通の椅子なのです。なんなの、この差は?第2楽章終演部で、弦の首席奏者たちだけの演奏になるのですが、ヴィオラの1、2番も加わっていますから、理由不明で、ちょっと不得要領のまま。

それと第1楽章で、フルートが有名な旋律を吹いてその後、同じ旋律がヴィオリンに移るのですが、その部分は大きくタメを作ってゆったりと弾いていたのが印象的でした。あとは、上の記事にもありますが、コンバスのピッツィカートが気持ちよかったです。

ともあれ万雷の拍手鳴り止まず、「BRAVO」や「いいね!」の垂れ幕が出たりで、コバケンさんもかなり感動されていた様子。「特にアンコールは用意していませんが」と断った上で、終演部のみ再演してアンコールにされていました。感動的な演奏で、思わずウルウル。聴衆に対しても律儀というのでしょうか、団員全員で四方八方にお辞儀されて、こちらが面映く感じたほどでした。