220609 UNA STORIA SENZA NOME (名前のない物語)2018 110分、仏伊、脚本(共)・監督:ロベルト・アンドー
コロナが始まった頃に日本で劇場公開されているのですが、記憶にない作品です。こんな邦題なら、気になったと思うのですが・・・。でも、この邦題、いかにもって感じで、原題のままでよかったと思います。つまり、カラヴァッジョの作品が盗まれたこと自体は付け足し程度の扱いですから、ある意味、美術愛好家には期待はずれとなりかねません。
1969年に実際に起きた事件をベースにしています。当時、愚亭は社会人3年目でしたが、この事件のことはまったく覚えていませんし、そもそも日本で報道されたかどうかも定かではありません。
とおくシチリアのパレルモにあるサン・ロレンツォ礼拝堂(Oratorio San Lorenzo)からこの名画「キリストの降誕」は盗まれ、未解決のままです。(つい最近、精巧な複製画がオリジナルが戻るまで祭壇に掛けられたことがニュースになりました。)
映画は入れ子状態、つまり劇中劇の体裁なので、結構入り組んだ構造になっていて、かなり分かりづらいです。見終わった後、モヤモヤ感は拭えません。でも、スリリングな描き方は堪能できました。
主人公の女ヴァレーリア(ミカエラ・ラマッツォッティ)は映画プロデューサーの秘書ですが、実はなかなかの才能の持ち主で、脚本家、ペス(アレッサンドロ・ガスマン、そうです、ヴィットリオ・ガスマンの息子!)のゴーストライターをやって裏金を稼いでいます。ペスは、まあいわば女たらしで口先だけの、かなりいい加減な男で、脚本家としての才能には乏しく、いつもヴァレーリアを頼りにしています。
ある日、街中で見知らぬ老人から、突然声をかけられ、大いに興味を引かれるストーリーを吹き込まれます。こりゃ絶対あたると確信したヴァレーリアはさっそく脚本にしてペスに送ると、果たせるかなこれを見せられたプロデューサーは絶賛。すぐさま段取りを整えて撮影に入ります。
ところが、この話ってーのが、マフィア絡みの、ある超有名作品の盗難事件そのものってことで、なんとペスはマフィアのアジトに連れて行かれボコボコにされます。さっぱり訳の分からないのはヴァレーリアも同じです。そうです。くだんの老人が鍵を握っています。
こうしてマフィアと怪しげなつながりのある政府まで巻き込んで、一気に展開が加速、さらに、ジ・エンドと見せかけて、アッと言う仕掛けも用意されています。やるなぁ〜って感じでした。