ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「下丸子うたの広場スペシャルコンサート VOL.1」@大田区民プラザ大ホール

220618

厳密にはこのシリーズではないのですが、コロナ直前の2020年2月に同じ会場、と言ってもその時は地下のホールでしたが、山田武彦の「歌でめぐる世界の旅」というコンサートがありまして、その時の主要顔ぶれのうち、今回もお三方登場されています。

そのうちのお一人、宮地江奈さんは終演後お会いした折、これからハンガリーに留学するとおっしゃっていたのが印象に残っています。以来、2年4ヶ月ぶりに下丸子に戻ってきたことに。

今回は大ホールに”格上げ”されての、まあいわば復帰公演ということになるのでしょう。出演者も演目もヴァージョンアップされていて、前半は日本歌曲を含め、軽めのもの、後半は一転、プロ好みとも言える重厚な舞台に構成されており、愚亭のようなオペラファンもたっぷり楽しめる企画が嬉しいですね。

上の一覧にはありませんが、冒頭、皆さんで團伊玖磨江間章子の「花の街」を合唱されました。これは、戦後間もなくNHKが盛んに流していた曲、愚亭も微かに記憶があります。ついで、一青窈が作詞した「ハナミズキ」を中村良枝さんが歌いました。この2曲はあとから加えられたようです。

後半はこのように、歌う方々のコメントが入っています。

山田武彦さんの流麗なピアノには、毎回、感嘆するしかありません。また、歌い手さんたちにトークを促す場面でも、とても謙虚で慎み深く、常に対等目線で接する姿勢に好感を持ちます。こう言う人の伴奏で歌えるのは、多分ご本人たちには至福のひとときだろうと想像されます。

大音絵莉さん、2020年の時も、またそれ以前も何度か聞かせてもらっています。絹糸を紡ぐようにして最高音を美しく引っ張る技術は素晴らしいとしか。

中村良枝さん、派手さはあまり見せませんが、基本に忠実というか丹精に歌い上げるタイプでしょうか。一部の「ハナミズキ」、上にも書いたように、後から加えられた印象なんで、暗譜が間に合わなかったようで、ちょっと気の毒でした。

宮地江奈さんは、コロナ期をまるっとハンガリーで勉強され、その成果が見事に結実したのがトリで歌ったハムレットなのかも知れません。鬼気迫るものを感じました。

秋本悠希さんは愚亭は初めて聞きましたが、いや、上手い!の一言です。カルメンを意識して全身真っ赤っかの衣装で、背部にマント風のケープが付けられていて、これを上手に使った演奏は強く客席を印象付けたようです。タッパがあり、大股で颯爽と入退場する姿は、なにやら宝塚男役風。

前川健生さん、以前から知っているテノールですが、一段と力をつけました。あまり聞く機会のない「ロベールの悪魔」からの詠唱は、高音ばかり連続して登場する楽曲で、すこしもひるまず最高音ハイCも楽に出していて、今が旬な驚異の高音テノール

明珍宏和さん、変わった名前で一度聞いたら忘れられません。歌も立派でしたが、もっとびっくりは、衣装!他の5人が1着で通されたのに、5着を取っ替え引っ替え!!楽屋に持ち込むのに助手がいたのかもしれません。イケメン、タッパもあり、オペラ歌手というよりファッションモデルのようでした。

第一部の最後に歌った「百花繚乱幻想」(山田武彦編)が凄かった!!!!ご本人の解説が入りましたが、リヒャルト・シュトラウスの「バラの騎士」からのメロディーに日本の童謡やら演歌まで絡ませて、まずピアノ演奏、途中から歌手全員が登場して、次から次へと「花が咲く」をテーマにした歌を聞かせてくれました。中にはスマップの「世界一の花」をなぜかイタリア語で歌ったりしていました。アンコールとして文字通り「花は咲く」を山田武彦編曲で全員がしみじみ合唱して幕。素晴らしい舞台でした。

アンコールでは、このようにそれぞれ別の花を持って歌い納めてくれました。(これは大音絵莉さんのツイッターに掲載されたものを許可を得てお借りしました。)

女声陣の衣装がほんとにきれいでした。

これは、大音絵莉さんのツイッターからご本人の許可を得て掲載します。