ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ノリのミラクル大冒険 with キンシュー」@座・高円寺2

220831

と、まあこんな珍しい演目を見てきました。贔屓にしている青栁・江口夫妻、手作りのコンサート、しかも今回は詩吟とのフュージョンという趣向です。ま、好奇心マックスの夫妻ですから、毎回アッと驚くような企画を立て、それを実行に移すということを次々にやって、我々ファンを手玉に取りまくります。

平日の昼下がりでしたが、ほぼ満席はさすがです。お二人ともコミュ力抜群ですから、集客は毎回、完璧です。今回は敢えて夫妻の出番を控えめにし、上本訓久さんとか岡昭弘さんを前に出していました。もちろん、詩吟の大家、お二人にも大活躍させていました。

このノリさんですが、私はこれまでなんども彼がタイトルロールを張ったオペラを見ていて、おおよその力量はよく知っているつもりです。ですが、今回の舞台では、まったく別の顔を見せてくれました。ひょうきんぶりとヤンキー臭さ、もうそこにいるだけで笑えてしまう、これがこの人の本領かと思うほど。

前半に歌った「カタリ」、「帰れソレント」などのナポリ民謡ですが、日本人でここまでナポリ方言を”らしく”歌える人って、滅多に知りません。後半の冒頭、「グラナダ」もいい味を出してましたが、バリトンの岡さんとの「ドン・カルロ」からの「友情の二重唱」にはしびれました。

この詩吟という世界、あまりこれまで馴染みがなく、まともに聞くのはほとんど初めてのような気がしますが、いやはや、実に聞かせてくれました。フュージョンは大成功でしょう。聴衆の反応にもはっきりと表れていました。

他に目新しい趣向として、プロジェクションマッピングを駆使して、さまざま舞台展開をしてました。費用対効果は知りませんが、容易に舞台転換できてしまう点では、これから多用されることになるのでしょうか。

さあ、次はどんなクセ球を繰り出して、ファンをまどわすか、楽しみがまたひとつ。