ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「スティルウォーター」@Amazon Prime

221209 STILLWATER  2021年 米 2h19m 製作・脚本・監督:トム・マッカーシー(「スポットライト 世紀のスクープ」2015)

事件性を匂わすようなチラシのデザインですが、タイトルはオクラホマの地名、また女性が浮いているのは、単にマルセイユの海岸で水遊びに興じている姿です。と書いては身も蓋もないことになりますねぇ。米映画ですが、ほぼ全編、フランスが舞台です。

主人公のビル(マット・デイモン)、なぜかマルセイユを留学先に選んだ娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)がルームメイト殺害容疑で懲役9年の罪が確定、収監されています。娘が無実であることを信じて疑わないビルは単身マルセイユへ。関係先へ当たるものの相手にされません。そもそも言葉ができないのですから、単独で真相解明などできはずもありません。

たまたま宿泊したホテルの隣室にいた母娘とひょんなことから親しくなり、バイリンガルの母親ヴィルジニー(カミーユ・コタン)にサポートされ、事件の核心にせまっていきます。ちょっと偶然が偶然を呼ぶような都合の良い作り方は気になりますが。

すると一人の地元の若者が線上に浮かびます。彼を拘束し、吐かせると驚くべき事実が。アリソンは嫌疑不十分で即釈放となりますが、なんとも後味の悪い話です。またせっかく家族のようになれたヴィルジニーと、とりわけその娘マヤとの別れが切ないです。脚本は成功です。

マルセイユにある無数のカランク(切り立った入江)で、仮釈放中にアリソンが泳ぐ場面が上のチラシに出ているわけです。このアビゲイル・ブレスリン、どこかで見たと思ってましたら、2006年の「リトル・ミス・サンシャイン」で10歳ながら名演技で話題をさらった子でした。今では26歳、うーん、ちょっと・・・厳しいかな。

ここでも無骨な役のマット・デイモン、やはり貫禄ありますね。画面がしまりますからね、それぐらいの存在感をひしひし感じます。さすがハリウッド大物俳優たる所以です。