ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

モーツァルト・マチネ(第53回)@ミューザ川崎

230527

たった70分のコンサート。近いところなので、けっこうこのシリーズは通っています。

エストロ梅田は愚亭の第九デビュー(2013.12.7)の時に指導を受けたのですが、結構厳しい指導ぶりが印象に残っています。今日拝見したら、全体にだいぶ温和になられた印象。あれからほぼ10年ですから、まるくなったんでしょうか。

最初の演目では、ヴィオラのソロから始まって、ヴァイオリンもコンバスも、また珍しいことにティンパニまであるのですが、最後のソロ、チェロの時は、「あれ、今度は誰?」って表情と身振りで、クラシックでは珍しく笑いを取っていました。指揮台の真ん前に立ち塞がるようにコンバスがいて、その陰に隠れるようにチェロの伊藤文さんが、「あー、おれおれ!」って感じで応じて、弾き始めました。

こんな光景、初めてですが、こういうのって、誰の発案なんでしょうかね。まさか、この曲はこのようにって作曲家の指示はないと思うのですが・・・。

フルートの2番は自分の結婚披露宴(@東急文化会館ゴールデンホール)のBGMに使用したぐらい、若い頃は大好きだったのですが、最近はそれほどでも。解説では、モーツァルトはこの楽器が好きになれず(当時のフルートは音が不安定だったとか)、依頼されても大幅に遅延して、オーボエ協奏曲の流用を思いついたとか。ハ長調を少し高いニ長調にし、細部も多少フルート用に書き換えて大慌てで完成したそうです。

演奏者の高木綾子さん、偶然最近放映された「徹子の部屋」でゲスト出演されてて、妙技の逸話を披露していて、大いに興味を惹かれていました。妙技というのは、吹きながら息を吸うという離れ技、これで随分長いフレーズを楽々と吹けるようになったとか。

それが存分に発揮されたのが少し長めのカデンツァで、いやまあすごかったです。今日はこれだけでも来た甲斐がありました。

シンフォニーの40番、とかくジュピターとして知られる41番の陰に隠れがちながら、これはこれで名曲で、確か冒頭のメロディーはフレンチポップスで、シルヴィー・ヴァルタンが歌って(1972)、ちょっとした話題になったこと、覚えています。

小編成ながら、各パートとも名手が揃っていました。コンマス、普段見かけない女性が座っているなと思っていたら、この澤 亜樹さんはこのオケ所属ではなく、ソロで活躍しているヴァイオリニストと後で知りました。

朝飯抜きで来ていたので、終演後、かなりの空腹感を抱えて家路を急ぎました。