ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「三軌展」と「マチス展」@国立新美術館

240527 毎年恒例の三軌展へ。これはここに何度も書いていますが、およそ60年前に横浜→マルセイユ、33日間の航海(仏国郵船”ラオス号”)で一緒だった仲間とその後結成したラオス会の一員、V.津田画伯が属する団体です。毎年この時期に東京で開くのが三軌展で、彼はこの組織のもはや重鎮で、もちろん自らも出展しています。

最近、帯状疱疹に罹ってまだ万全とは言えない体調ながら、熱っぽく自作の解説をしてくれました。いつものようにギリシャ神話を元にした作品です。20年以上も取り組んでいるライフワークとも言えるシリーズです。大変に細かい筆捌きで丹念に描き込んだ力作です。

私の友人で、ちょうどクレタ島に行ったばかりという女性がロンドンから来日中でしたので、いい機会と思って誘っていました。

近くの鮨どころで昼食後、再び美術館に戻って、さっきと同じ2階の別の会場で開催中のマチス展へ。最終日とあって、相当の混雑ぶりを覚悟していたのですが、平日で天候も悪かったせいか、それほどでもなく、ゆったり鑑賞できたのは幸いでした。

油彩画もありましたが、本展は後期の切り絵を中心にした展示でした。すこしばかり物足りなく感じたとすれば、多分そのせいでしょう。最後の方の室だけ撮影自由となっていたので、パチリ!

愚亭も一時かなり夢中になって絵葉書や図録を漁ったことのある切り絵ですが、この人のフォルムや色彩感覚の素晴らしさには思わずため息が出ます。

これが今回一番楽しみにしていた展示です。ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂の内部レプリカです。娘がまだ3歳になる前に、パリから休暇を取って車で来たことのある礼拝堂です。

なぜわざわざここまで来たのか、記憶が定かではありませんが、堂内に人影なく、宝石箱のごとき小さな空間を独り占めした思いでした。背景のステンドグラスの色合いはまさしくこの通りで、海中を漂うがごとき海藻模様が、今でも鮮烈に網膜に焼き付いています。

コロナのせいで、めっきり美術館詣での回数が激減していたので、久しぶりの生の鑑賞でした。同じ日に二つの展覧会は、疲れやすく、鑑賞力低下を招くので御法度ですが、今回は途中に昼食も挟んでいたこともあり、大した疲れを感じることもありませんでした。いい1日になりました。