240703 C'è ancora domani (邦題そのまま)2023 1h58m 脚本(共)・監督・主演:パオラ・コルテッレージ
本国で大ヒットした作品とか!不覚にも愚亭はパオラ・コルテッレージのことはまったく知りませんでした。こんな才能に恵まれた映画人がいたんですね!驚きました。
舞台は戦後直後のローマです。雰囲気としては「自転車泥棒」とよく似ています。モノクロ撮影、スタンダードサイズも、当時の雰囲気をということでしょうか。尤も画面サイズはやがて大型に変わりますが、どこで変わったか愚亭はうっかりして気付きませんでした。
撮影はローマ市内で行われたようですが、さすがに戦後のままの区域はないので、そこはかなり苦労したようです。なんとなくセットのようなたたずまいにも感じます。
主人公一家6人の住まいはなんと半地下!そうです。韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」にそっくりな設定です。窓を開ければ通りを歩く人々の足元が見えるという、あの感じです。
6人家族ですから、それなりに部屋数はあるのですが、なにせ寝たきり老人(一家の主人の父親)が一部屋使っているので、キッチン、居間兼食堂、あとは夫婦の寝室、そして3人の子供達(長女、長男、次男)は同じ部屋で寝起きしています。
長女は年頃で、ボーイフレンドと付き合い始めています。男の子たちはまだクソガキってとこです。
夫婦がある朝、起床するところから物語は始まるのですが、「イヴァーノ(主人の名前、演じるのはつい先日見たばかりの作品にも出ていたヴァレーリオ・マスタンドレーア)、おはよう!」って女房、デリアが言うと、いきなりビンタですよ。え!!!DV旦那!これにまったく怯むことなく、さっさと起きて朝食の準備を始めるデリア。
こうして1日がスタートです。街にはまだ米軍が駐屯しています。デリアはどうやらいくつものアルバイトでせっせと生活費を確保しているようです。えばりくさっている旦那、大した稼ぎもなさそうです。
仲のいい夫婦がやっている八百屋で買い物ついでに世間話をしたり、帰りに立ち寄る自動車修理場に馴染みの男がいて、彼との会話に憂さを晴らしたり・・・多少は恋愛感情もありそうです。
娘の婚約相手の一家を自宅の食事に招くことになっちゃいます。娘は当然ながらすっごく嫌がります。相手がかなり格上らしいからですが、デリアは一向に気にしません。この辺、肝が据わっているのです。
しかし、デリアは婚約相手がどうやらいずれDV夫になるだろうと予感します。そこで、一計を案じ・・・。この辺りの機転というか、実行力には驚嘆するしかありません。
そして、終盤、とんでもなく想定外の展開となります。いやはや、見事です。大したものです。すっごく真面目な作品なのですが、喜劇要素もたっぷり。かなり笑いました。そこはさすがにイタリア映画、ここにあり!という感じです。
この爺さん、寝たきりで嫁に尿瓶まで取り返させて世話になっているくせに、体を触ったりと、まあこの父にしてこの子あり、みたいで、笑わせます。嫁はまったく動じる気配もなく、いまくいなします。
婚約相手一家を食事に招待した時のハプニング