ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「マダム・バタフライ」@東京文化会館

240719 久しぶりに映画以外の記事です。

デビュー以来、ずーっと応援している高橋絵理さん登場とあって、早くからチケットをゲット。前から4列目左セクション右端とベスト・ポジションで観劇。話題の宮本亜門演出、KENZOのコスチュームをたっぷり堪能しました。

宮本亜門の新解釈はある程度事前情報を仕入れていたので、興味津々で幕が上がるのを待ちました。病室、病臥しているのは晩年のピンカートン、かなり悪そうです。親族・関係者が別れを告げる中で、最後に登場するのが蝶々さんとの間にできた一人息子、Dolore(悲しみ)→Gioia(喜び)です。

病室は右端に引っ込み、開幕です。ダンサーのChion演じるこの青年、終幕まででっぱなし!セリフもない、もちろん歌もないのですが、表情だけで演技するわけで、なかなかの大役です。宮本亜門に認められて出演することになったようです。

この後は、型通り進行していきます。蝶々さん登場の付き人たちの衣装がKENZOの手になるもの、つい先日、METライブビューイングで見たばかりの中国人デザイナーのものと比べるまでもないですが、やはりセンスの違いを感じました。やはりこの演目だけは日本人がやらないとダメですよ、そりゃ。ま、マエストロはエッティンガーでいいですが。オケは輝いてましたね。

1幕60分の後、25分の休憩を挟み、2,3幕は休みなしで進行します。一旦、幕を閉じますが休憩なし。

高橋絵理さんは今更、何も言うことはありません。見事な蝶々さんでした。演技もすばらしかった!やはり絵になりますね、こういう人が演じると。相手役のピンカートンを演じた古橋郷平さんもよく踏ん張っていました。上背があり小顔なので、見栄えすること!高橋絵理さんとよく釣り合っていました。シャープレスの与那城 敬さんも身長が高いのですが、古橋郷平さんと並ぶと普通に見えちゃいます。

1番の見せ所、聞かせどころ、「ある晴れた日に」は、なんと舞台中央にある蝶々さんの自宅の1室だけ、可動式の小屋にしてあり、サイドのはしごで、屋根に登れるようなしつらえです。ちょっと危ないかなと思ったのですが、そこは若いから苦もなく上がり、そこで歌うのです。いろいろ考えています。

そしていよいよクライマックス、自刃の場面へと。これがまた一段と凝っていて、一般的には後ろ向きが多いのですが、宮本演出では、正面向いています。本作での一番の名曲とも言われるAddio fiorito asilを松葉杖姿のピンカートンが涙ながらに歌います。

カバーをされたソプラノの鈴木麻里子さんによれば、このプロダクションで一番金銭面で貢献したサンフランシスコオペラのこともあり、ピンカートンをどう描くか、迷いがあったとか。

さらにさらに・・・ここから先は敢えて触れないでおきましょう。