ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ロストケア」@AmazonPrime

240821 1h54m 監督:前田 哲

介護の話です。避けて通れない重いテーマです。主役の松山ケンイチ、上手いです。ちょっと見直しました。一方、検事役の長澤まさみはちょっと・・・という印象。そもそもこれはミスキャストでしょう。もう少し老練な感じの女優を持ってくるべきでした。そのせいで、そうも浅薄な印象を免れません。

介護士の斯波(松山ケンイチ)は、介護会社の中でもピカイチの存在で、誰からも頼られる存在です。しかし、大きな問題を抱えています。彼自身の父親(柄本 明)がすでに重度の認知症で、日々地獄のような葛藤があり、大きな決断を迫られています。散々悩んだ末、出した答、それは実に恐ろしいものでした。

家庭内で介護する側、される側にとって最終的な”救い”はこれしかないと思い定めた斯波は、自分が担当する被介護者に、この最善と彼が悟った救済策を次々に実行に移します。客観的には殺人行為でしかないのは重々承知の上で。

裏にどれだけ壮絶な事情があろうとも、単なる殺人と断じる検事の大友秀美には斯波の独りよがりとしか思えない論理は通用せず、平行線です。しかし、理詰めの斯波についに言い負かされます。この部分がこの映画の核でしょうね。実は大友秀美自身も問題を抱えていたからこその展開でした。

もろもろ考えさせられる重いテーマを扱った社会派ドラマです。