240822 IL DIRITTO ALLA FELICITÀ (幸せの権利)伊 2021 1h21m 脚本・監督:クラウディオ・ロッシ=マッシミ 主演はレーモ・ジローネ('76) 母国イタリアのみならずアメリカ、ドイツ、フランス、英国などでも活躍。ナレーション分野にも積極活動。
舞台はアドリア海より、やや山間部にある小さな村。イタリアで最も美しい村に選ばれているチヴィテッラ・デル・トロント。冒頭のシーンを見て、既視感があったのは、愚亭が大昔暮らしたことのあるペルージャかと。考えてみれば、坂が多く、曲がりくねった石畳の細道って、どこにでもあるのですが。
ストーリーはごく単純で、移民(アフリカのブルキナファソ出身の少年)と、風光明媚な小さな村で古本屋を営む老人の心温まる交流を描いています。
ある日、少年が訪ねてきて興味深そうに本を眺めています。「本、好きかい?」「うん、でも買えないの」、いかにも純心そうな少年を見て、「いいよ、1日なら貸してあげるから。読み終わったら、ここに持っておいで。」
日本でいう小学校4年生ぐらいの少年に、ロビンソン・クルーソー、星の王子さま、など気に入りそうなものをえらんで、読ませます。この本やさん、いかにも人の良さそうな顔立ちで、少年との間に親子のような絆が生まれていくのです。
ある日、少年がいつものように本屋に来ると、張り紙が。「喪中!」
とぼとぼと肩を落として帰っていく少年。その腕の中には借りたのではなく、貰った本が1冊。それは世界人権宣言というタイトルでした。ちょっとお堅い本です。邦題にはそれは感じられませんが、原題は幸せへの権利となっています。冒頭にDedicated to UNICEFとあります。
普段殺伐とした刑事ものを好んで見ているとたまにこうした作品に出会うとほっこりします。佳作