240823
LES ORGUELLIEUX (高慢な人々)仏・墨 1953 1h43m 原作:ジャン=ポール・サルトル 脚本・監督:イブ・アレグレ(1907-87) シモーヌ・シニョレの元夫、彼女はその後、イブ・モンタンと再婚。もちろん古いこともありますが、この監督の作品は1本も見たことはありません。
当時のフランス映画界の看板俳優二人の共演となれば、すごい話題作です。でも、これまで一度も見る機会はありませんでした。今回は、たまたま職場の先輩からのラインでアマプラで配信されていると知って、さっそく視聴したわけです。
期待に違わず素晴らしい作品でした。全編に漂うけだるさが印象に残ります。舞台はメキシコのメキシコ湾側の漁村ヴェラクルス。街中にマリアッチの音と爆竹の音が朝から響き渡る土地柄です。来訪者には耐え難い喧騒です。しかも湿度が高くベタっとした海辺の空気が肌にまとわりつきます。
滞在中のフランス人、ネリー(ミシェル・モルガン)は、伝染病(チフス)に罹患してうなされている夫、トムを病院に連れて行こうと必死です。とりあえず救護所のようなところへ緊急避難しますが、ほどなく亡くなります。二人がどういう事情でここにいるかなどの説明はありません。
一方、食い詰め浪人風のジョルジュ(ジェラーフ・フィリップ)も、なぜかくも落ちぶれて酒に溺れているのか説明がありません。が、徐々に事情が明らかに。もともと医者なのですが、自分の不注意で妻子を死なせてしまったというトラウマから自暴自棄になっているのです。
しかし、この見知らぬ土地で、似たような境遇になった二つの魂が徐々に惹かれあっていきます。
この時、フィリップは31歳、モルガン、33歳です。特にモルガンはおそらくは一番美しい年代でしょう。2Kリマスター版ということもあり、顔や二の腕に滴る汗までもがはっきりと映されます。
さらにベッドに横たわる時に一枚ずつ脱いで下着姿となり、惜しげもなく肢体をさらします。ここでも滴る汗が光ります。かなり官能的なシーンです。
ラストは不幸な過去を嘆きつつも、わずかばかりの光明を見出せた二人でした。
ジェラール・フィリップ、仏銀幕で、最も美男と持て囃されましたが、惜しくも36で病死しました。役柄ゆえか、なんとなく青白く不健康なイメージもありますが、アラン・ドロン以上の美男ぶり、特にフランス人にとってはそのようです。
この邦題は秀逸です!