ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「対峙」@Amazon Prime

241025 MASS(大量と言う意味。ここでは銃撃による大量殺人を指しているのでしょう) 米 2021  1h51m 原作・製作・脚本・監督:フラン・クランツ (43歳、俳優が本業、本作が初脚本、初監督というから、驚きます)

仰天の作品!映画の進行と実際の時間がほぼ同じで、ほとんど室内での4人の対話だけという内容。演じる4人の卓抜する演技に圧倒されっぱなし。ほぼドキュメントを見ている感覚。

アメリカの地方都市、学内での銃発砲事件で、被害者、加害者それぞれの両親が事件後数年を経て、会うという設定。これは実話をベースにしているわけでもなさそうですが、実際には起こり得ない、絵空事のような印象も受けてしまいます。

お互い、何年振りかで顔を合わせるので、挨拶も含め、冒頭の5分ほどは実にぎこちなく、しばしば沈黙がその場を支配します。やがて、どちらからともなく、会話が始まり、徐々に核心へと。

驚くほど全員が冷静でしたが、半刻も経過する頃から、徐々に感情的になり、悲しみや怒りが爆発します。当然ながら、被害者側の両親、特に父親が激しく相手の親をなじる場面がすさまじかったです。

しかし、加害者と言えど、本人はその場で銃で自殺しているので、愛する息子をこの不幸な事件で失ったという事実を共有している立場です。そこに複雑な感情のもつれがあるのでしょう。

息子に対する親の管理責任がどこまで追及されるか。息子といえどまだ16歳、思春期と言える年代で、親としてももっとも緊張を強いられる年頃でもあるし、四六時中見張っているわけではないので、限界はありますよねぇ。つい加害者の親に同情しちゃいます。

被害者の母親が、どうしようもなく辛く悲しいけど、加害者もその親も赦しますと何度も口にして、この会合は終わります。そして、立ち去る時に、讃美歌が聞こえてきます。ここがいいです。会合場所は教会に付属する建物なので、教会で練習している合唱の声が静かに響いてくるのですね。

この邦題、決めるの、難しかった思いますね。