241212 STALAG 17 米 1953 2h 製作・脚本・監督:ビリー・ワイルダー
日本公開時、愚亭は小学生だったので、さすがにリアルタイムでは見ておりません。多分、後に名画座で見た記憶があります。当時は「へー、こんな世界があるんだ!」ってな、素朴な感想だったと思います。
さすがワイルダー、彼の作品の中でもトップクラスでしょうね。限られた空間の中での話を2時間にわたってたっぷりと、しかもコメディー的要素もふんだんで、それに収容所脱走の緊迫感も加えてですからね。10年後の「大脱走」(ジョン・スタージェス監督、スティーヴ・マックイーン主演)の予告編のような部分もあります。
それにしても、敵対していた米独の立場でありながら、それほどのギスギス感もなく、大人同士、ある意味、相互リスペクトが漂う雰囲気を感じました。ナチスと米軍軍曹たちと言っても、人種、宗教、歴史など共通の基盤を持つ間柄だけに、そこらへんは日本人の感覚とはかなりの隔たりを感じました。
そう言えば、ビリー・ワイルダーはれっきとしたドイツ人!ユダヤ系なので、フランス、のちにアメリカに亡命していますから、こういう描き方になるのは必然かも知れません。
地味な役柄ですが、ウィリアム・ホールデンは、これでアカデミー主演男優賞を取っていますが、それほどかな、という正直な印象です。彼も3年前の「サンセット大通り」で主演男優賞候補に終わったリベンジだと受け取ったようです。
確かに演じた役柄、あまりいい役ではなく、ワイルダー監督には、もう少し好ましいキャラにしてほしいと注文はつけたらしいですが・・・。(笑)ま、嫌な役ですね、確かに。
それと、スパイ役のピーター・グレイブスの存在感が傑出しております。ホールデンよりはるかに目立つ存在です。後年、「スパイ・大作戦」でのリーダーを演じて、日本の茶の間でも人気に日が付きましたが、ここでは本人がスパイを演じました。
「ジョニーの凱旋」(Johnny comes marching home)というアメリカ人なら誰でも知っている一種の軍歌が効果的に使われています。