ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ネルソン・ミサ曲 ほか by 明治学院バッハ・アカデミー@紀尾井ホール

250329 一気に冬に逆戻りした中、いつものように赤坂見附からホテル・ニューオータニの宴会フロアを通って会場入り。ところが、ホテル宴会場出入口を出たところ、夥しい数の消防車が!どうやら、ボヤ騒ぎがあったようです。

今回は出演者(合唱)のお一人からご招待いただき、2階右手バルコニー1列目、やや舞台よりに陣取りました。鑑賞しやすい、大変よい席でした。

さて、合唱を聴くことが主眼ではありましたが、失礼ながらそれ以上に楽しみだったのが、古楽器演奏でした。全員古楽器で演奏するのですから、揃えるのが大変だったと思われます。

弦は4:4:3:2:2という編成で、これは偶然とのことですが38番シンフォニーのプラハ初演の時とほぼ同じ編成だと、指揮者で音楽学の大家、樋口隆一氏の解説にありました。

古楽器の弦の奏法はノンヴィヴラートと思い込んでいましたが、必ずしもそうではないということを、首席が時折ヴィヴラートをかけていたので、知りました。ただ、弓もバロック弓の場合は、ヴィヴラートがかけにくいということもあるようです。

ホルンはナチュラルホルンで、レバーがありません。基本的に16音は歌口の当て方でできちゃうからすごいですよね。それ以上の音は朝顔に突っ込んでいる右手を調整して出すようです。

木管も基本は木製で、キーはないのですが、リコーダーのように穴の開け閉めの操作で演奏しています。

ピアノは、⬆︎に詳述されている通り、大変な代物が使用されました。一見したところチェンバロかと思いましたが、なんと1818年製のシュライヒャーピアノなんですね。モダンピアノに比べるとかなり音量が下がります。それでも当時としては画期的で、それでフォルテ・ピアノと呼ばれたようです。

どうも楽器にばかり興味が行ってしまいましたが、肝心の演奏です。38番シンフォニーはそれほど好んで聞いていたわけではありませんが、こうして古楽器で演奏されるとなると、まるで別物という印象です。あの時代はこういうふうに鳴っていたわけですから、感慨もひとしおです。

次のP協20番は、映画「アマデウス」で効果的に使われていたこともあり、またこれまでなんども生演奏を聴いていますが、今回のこの演奏こそが18世紀末の響きだったわけです。その時代の音楽会に誘われた錯覚に陥ります。

さてさて、お待ちかねの「ネルソン・ミサ」です。初めて聴きます。これが実に素晴らしい曲で、愚亭も元気なうちに一度歌ってみたいと思いました。

なんでまたネルソンかと思ったら、例のイギリスの提督のネルソンなのです。オーストリアがナポレオンにさんざんやられていたのに、ナイル川でネルソン提督率いる艦隊にナポレオン軍が負けて、息を吹き返したらしく、それでこの名前がついたとされています。

ネルソン提督自身、愛人と一緒にこの曲が初演されたとされるアイゼンシュタットまで行って聴いたようです。

合唱は、すばらしいハーモニーでした。ソプラノの高音部、無理のない発声でしたし、どのパートも安定していました。少人数の男声陣もよく和していました。

ソリスト陣も奮闘、中でもソプラノの出番が圧倒的に多いのが特徴ですかね。歌われた冨永美樹さん、ひょうなことで存じ上げていますが、聴くのは初めてかも。いや、こんなにお上手だったとは!

テノールの、ジロリンこと高野二郎さんもかなり前からお聞きしている方です。今回はあまり出番は多くはなかったですが、相変わらず安定したきれいなテノールでした。

いやまあ、こんなに素敵な演奏会って、たまにあるんですよねぇ。