ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「現金に手を出すな」@AmazonPrime

250730 Touchez pas au grisbi  仏伊合作 1954 1h36m 脚本・監督:ジャック・ベッケル

フィルム・ノワールの傑作ですが、初見です。映画もさることながら、この独特のハーモニカ演奏による主題曲「グリスビーのブルース」も当時、かなりヒットしたものです。

日本公開は1955年、愚亭が中学生になったばかり、リアルタイムでは見てません。この頃ですと、結構洋画は見始めていますが、興味が湧かなかったのでしょう。このタイトルじゃねぇ。(笑)

Grisbiはフランス語の裏社会スラングで、ブツとか、そんな意味のようで、ここでは金塊を指しているようです。それにしても、この邦題は秀逸です。

ストーリーは割と単純です。言ってしまえば単なるギャング同士の抗争です。オルリー空港近くで金塊をせしめた一味、親玉マックスを演じるのがジャン・ギャバン。これが、もう実にかっこいいのです。どんな時もヘアスタイルから足の先まで、ビシッと決めています。女にモテないわけがありません。

彼の住まいがまた当時としては、考えられないほどモダンな作りです。昭和30年頃の日本のことを考えればどれだけ洒落てたかよく分かります。パリ高層階の瀟洒なアパートの一室、キャビネットを開けると、そこには小型ジュークボックスがあるなんて、想像できないですよね。

何人かの踊り子たちと関係を持っているマックスですが、お気に入りの一人がなんと当時26歳のジャンヌ・モロー演じるジョジー!まだほんの端役で、存在感もなにもないのですが、まさか89で亡くなるまでほぼ現役というキャリアを辿るとは!

マックスの共犯、リトンを演じる俳優のキャラが弱かったのが残念。このリトンが口が軽く、踊り子の一人に金塊強奪のことをほのめかすもんだから、別のギャングの耳に。このギャングの中心人物を演じるのが当時売り出したばかりのリノ・ヴァンチュラ

彼はプロレスラー上がり、負傷したのを機会に俳優に転向したそうで、これぞまさに怪我の功名!いやはや、ほとんど笑わない面構えといい体格といい、申し分なし。後年、アラン・ドロンと共演した「冒険者たち」では、かれの良さ、全開でした。

まあ、ジャン・ギャバン一色の作品でしょうかね。当時のパリの街並みが映し出されてるのも興味しんしんでした。また、夜の撮影が多く、あの時代のフィルムやカメラの性能を考えれば苦労したことでしょう。

リノ・ヴァンチュラジャンヌ・モロー