ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「三文オペラ」@シアターX

251007 なんと千円で、こんなの見ちゃいましたよ!

⬆︎デス(?)マスクを持つベルトルト・ブレヒト。原作はなんと1728年、ジョン・ゲイのBeggar's Opera(乞食オペラ)ですが、ブレヒトはDie Dreigroschenoper(三文オペラ)にしています。クルト・ヴァイルが曲をつけ、1928年初演です。

この陣容ですよ!とっくとご覧あれ!

この劇場、今回で多分10回目ぐらいでしょうか。結構昔から来ていて、大体が「敢えて小さなオペラ」シリーズで「魔笛」とか「カヴァッレリーア・ルスティカーナ」、一度、映画「ロヴェレ将軍」観劇とその後のトークショー、敢えて小さな「第九」などなど。

毎度、これ、ほんとに千円でいいの?って、申し訳なく思って来ましたが、今回はその思いがことさら強かったです。だって、この内容ですからねぇ。いやいや、これまでも、優れた歌手たちオンパレードでしたが、今回のは申し訳ないですが、桁外れですから。

4回公演、いずれも満員だったと聞いています。特に今回は楽日だったこともあり、予約なしの観客もつめかけ、劇場側もなんとか全員に見せてあげようと必死で取り組んだ様子。補助椅子、それも幼児が使うような小さな椅子を通路や最前列に並べ、多分全員収容したんでしょうねぇ。

満員と、事前に劇場側に確認していたので、いつもより相当早く着いたつもりでしたが、すでにかなりの長さの列が。結局、34番目という入場券をゲット、前から3列目左セクション右端に陣取れました。

さて、このオペラ、愚亭は実に初見!それこそボビー・ダーリンの「匕首マック」("Mack the knife!")でしか知りませんでした。多分、日本ではそれほどポピュラーな演目ではないでしょう。公演頻度も低い方と思われます。

原作が英国人、オペラに仕立てたのはドイツ人、それを日本語上演ということです。舞台はロンドン、乞食の元締めピーチャムとその女房がまず登場します。これを名手池田直樹さんが演じるのですが、一言、上手いです!ほんとに味のある名優です。

女房役の菊池美奈さん、ソプラノ歌手というより、最近はプロデュースの方にシフトしているのは、先日晴海で見た「林美智子のフィガロ」の彼女と同じような路線で活躍しています。この薄汚いイデタチの夫婦、狡猾で悪巧みが働くところはレ・ミゼラブルに出てくるテナルディエ夫婦を彷彿させます。

さて、いよいよ真打登場!メッキー・メッサー、「匕首マックたぁ〜、俺のことよ!」ってね。これ、端正で聞こえる与那城 敬さんですよ!いやぁまあ、上背もあるし、文字通りイケメン歌手ですから、キマっています!メイクも衣装もドンピシャ!

この方、バリトンなんですけど、喋り声、めっちゃ高いんでテノール?って思わせるほど。敢えてそういう発声に挑んでるんですね。ステキ!

他に飲み屋のジェニー役で、これまた名手、小林由佳さんが魅せてくれます。この人もどんな役でも器用にこなしますねぇ。清純な役も、今回のように、ある種、汚れ役も、見事なもんです。

伴奏はたった3人のアンサンブルX(カイ)が頑張りました。雰囲気、ぴったりのアレンジは音楽監督高木耀子さん。敢えて小さなシリーズはすべてこの方がやられているようです。

舞台は天井から半透明のビニールのような幕が下がっていてこの一部に簡単な解説が表示されるのですが、上からの照明が強すぎて、残念ながらあまり見えませんでした。でも、セリフが日本語なんで、特に支障というほどではなかったです。

同劇場の芸術監督は、↓こんなことをおっしゃっています。

左端、白馬に跨った風の国王が最後に登場、笑わせてくれました。バレー出身の鳥山莞吹気(いぶきと発音)さん。

15分の休憩を含めて3時間!お疲れ様でした!!!