ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

オペラ「夢遊病の娘」@METライブビューイング

251125

待望のMETライブビューイング 25-26シリーズが始まりました。第1作は、LA SONNANBULA(夢遊病の娘)です。さっそく近くの映画館へ。期待を遥かに上回る出来栄えに、大満足でした。

ベルカントの巨匠3人組の1人、ヴィンチェンツォ・ベッリーニの傑作の一つ。これぞベルカントの極致という調べ、そして現代最高の歌い手たちによる歌唱に酔いました。(なのに、場内3割の入りはもったいない!)

さらに、世界最高峰オペラハウスならではの雄大かつ緻密な舞台美術・装置に圧倒されっぱなしでした。また、今や歌手活動から、演出に乗り出したマルチ・タレント、メキシコのロランド・ビリャソンのエンタメ性抜群で、時にコミカルでもある演出ぶりに驚嘆しました。

テノール歌手としても超一流であるにとどまらず、今や多方面に才能を発揮していて、歌手としてしか知らない愚亭を完膚なきまでに驚かせてくれました。

開演時、背景には雄大なスイスの山々の景色が投影されています。紗幕と映写をうまく使っての、主演のアミーナ(ネイディーン・シエラ)の登場シーン。

手前は村の広場と白く塗られたいくつものドアが。上手は旅館らしき設定。舞台変換はほぼありません。2幕では宙吊りのベッド、斜めに傾いたドアの一部が下手からせり出してくる寸法です。

ということで、舞台は比較的シンプルですが、そこには緻密な計算があるようです。

筋書きは題名にあるように、夢遊病の娘、アミーナが古い因習が色濃く残る寒村で巻き起こす騒動という、割と単純なものですから、至極分かりやすい構成になっています。

いよいよ指輪をはめるところです。後ろにエルヴィーノのかつての恋人、宿屋の主人リーサが、仏頂面で誓いの聖水を持って儀式に参加しています。指輪をはめる時以外は、まったく互いに触れ合うことはなく、それがこの村のしきたりのようです。

村をたまたま訪ねてきたいわくつきのロドルフォ伯爵。アミーナは夢遊病だから、伯爵の部屋にうっかり入ってきてしまいます。

その後、広場で寝ているところに村人が集まってきます。伯爵のガウンを毛布がわりにしていますから、さあ大変。

怒ったエルヴィーノはもちろん婚約破棄を宣言、指輪を奪い返します。なにがなんだかさっぱりのアミーナ、村人からは唾を吐きかけられたりと散々。

取り囲んだ村民に無罪を訴えるアミーナですが、入口には黒々とバッテンが。エルヴィーノはリーサと寄りを戻すのか・・・。

噂の、夜な夜な村に現れる亡霊とはアミーナ自身ですが、2人(?)の交流場面。やがて無実であることが判明、メデタシ、メデタシ。

この人、母親がポルトガル人ですから、ヒスパニックということになります。名前からしてそう思っていました。メトの舞台はほぼすべて見ています。今回もまたあらゆる音階をムラなく美しく力強く、そして繊細に歌い上げて、あの広い館内をゆるがすほどの喝采と浴びていました。

愚亭には初見です。名前からしてスペイン人ではなく、出身がサン・セバスティアンですから、バスク人でしょう。

シャビエールやザビエルは、スペイン語ではハビエルをなりますね。アンドゥアーガもバスク人の姓のようです。姓名ともに覚えにくいですね。

声の質は、ホセ・カレーラスに近いかな。ついでに、彼もスペイン人でなくカタラン人で、本名はホセでなくジョゼップと発音されます。

やたら小難しいベッリーニの旋律を見事なまでに歌っていました。とりわけ高音の弱音は、ため息が出るほどの美しさで、比類ないほどでした。

この方、まったく知りませんでした。名前からするとイタリア系でしょうかね。ご覧のような美貌で、歌も上手いし、堂々たる舞台姿といい、魅了されました。

ロドルフォ伯爵はロシア人のアレクサンダー・ヴィノグラドフが演じましたが、これまたすごい熱演でした。以前、ここの舞台でカルメンエスカミリオをやった時はそれほどでもなかったのですが、やはり成長したのでしょう。

しかし、舞台で実際にタバコに火をつけて吸うところが2ヶ所出てきましたが、びっくりでした。ま、ベースだから、あまり喉に影響ないんですかねぇ。

今回から、インタビューやマエストロの登場シーンなど、これまでとはスタイルを一新しています。またインタビューアーもオペラ歌手ではなく、フォークミュージックのリアノン・ギデンズをもってきました。ちょっと意表を突かれました。

さて、次はラ・ボエームですよ、それも若手ホープのフレディ・デ・トンマーゾが出ますから、これまた見逃せません。

なお、上に掲載した写真等は、METライブビューイング のHPから拝借しました。