251215

今シーズンのラインナップの中でも大いに期待していたので、予約開始日にエグゼクティブシートを予約。
しかし、残念ながら、いささか期待ハズレでした。フランコ・ゼッフィレッリの舞台はそりゃすばらしかったんですけど、主役の2人の演技力不足ですかね。2人とも超絶、歌はうまいのですが、そこは若さ、経験不足が露呈しちゃいましたね。
まずミミ役のジュリアナ・グリゴリアン、メイクのせいもあるのかもですが、なんか初めっから、はすっぱな印象で、感情移入が無理でした。けなげなお針子というイメージからはほど遠かったです。
対するロドルフォ役のフレディ・デ・トンマーゾ、ガタイもいいし、歌唱力はいいのですが、なんたって、まだグリゴリアンと同じ32歳ですからねえ。もう少し経験積めばすばらしいディーヴォになり得ます。
1番の聴かせどころ、冒頭のChe gelida maninaも、気合が入りすぎちゃて、不発。残念!やはりこの若さでいきなりのメトの大舞台での主役で、コチコチになっていたのかも知れません。その点、グリゴリアンの方はのびのびやってたとは思うのですが、演技力不足はどうにも・・・・。
ムゼッタのハイディ・ストーバーもですねぇ〜、まあ上手いっちゃ、上手いのですが、出てきた瞬間、「あれ?」って感じで、老け顔なんですよ!アイバッグが目立って、ミミの母親かっていうぐらいの差を感じちゃいました。
Quando m'en vo,うまく歌ってましたけど、感情移入は無理!まだ47なんですけどね。グリゴリアンとは15歳差、まだ老ける年ではないのですが、メイクアップ・アーティスト、だめです。
他の男声陣、みなさん、よかったですよ。マルチェッロのルーカス・ミーチェムというアメリカ人、デカい!190cmもありそうで、他が小さく見えました。
でも、みんなすごい体格なんですがね。コルリーネの韓国人、パク・ジョンミンも大柄で、いいバスでした。韓国人は結構ここの舞台で活躍しているのに、日本人はまったく!!やはりまだ国際規格外なんでしょう。残念至極!




そして、マエストロがまた大女で、動きが直線的ですっごく男性的なウクライナ系カナダ人でした。

ところで、幕開けの恒例の”Maestro, to the pit, please!"があって、カメラは舞台裏から表に移るわけですが、女流指揮者だからマエストラ、と言う人がいて、事実日本ではその表記もあるようですが、メトロポリタンでははっきりマエストロと呼んでいます。同じ伝で、コンサートマスターも、女性であってもコンサートミストレスとはしないのが一般的のようです。

演奏時間は正味で2時間弱と、オペラではむしろ短い部類です。毎回書きますが、モーツァルトのたとえば魔笛やコジ、フィガロなどと違って、だれるところがないのがいいのです。4幕とも素晴らしいのです。感情移入できないと書きましたが、やはり終幕ではいつも以上に涙腺崩壊を起こしました。
このシリーズは幕開け前や幕間にインタビューや舞台転換の模様を映してくれるのが特徴で、今回のインタビューアーはこの舞台の常連、テノールのマシュー・ポレンザーニでした。前回の「夢遊病の娘」ではオペラ歌手以外を起用したけど、あれは失敗でしたね。
インタビューは当然ながらすべて英語です。どこの出身者であろうと、みんな実に見事に対応しますからねぇ。日本人オペラ歌手でこういうことに耐えられる人、残念ながら。
幕間には次次回公演の「アンドレア・シェニエ」の稽古風景で、有名なラストシーンをピヨートル・ベチェワとソニア・ヨンチェヴァが歌いました。
また、フランコ・ゼッフィレッリがメトでのラ・ボエーム初演時の稽古風景が映像で流れました。1981年で、テレサ・ストラータス(ギリシャ系カナダ人、とホセ・カレーラスの組み合わせで、フランコ・ゼッフィレッリ自身が演技をつけている珍しいシーンが見られました。
幕が開いて意外だったのは、屋根裏部屋が小さかったのです。これはゼッフィレッリが意図したことで、部屋の外側、つまり手前に建物自体の屋根があり、また部屋のバルコニーも作られてあるという、数えきれないほどラ・ボエームを見てますが、さすがにこのような構造は初めて見ました。4幕で例のあの連中がふざける場面ではバルコニーから屋根にまで飛び移って演技するから、大変です。

ところで、⬆︎は1896年、トリノでの初演時のポスターです。(Wikipediaから)題字の上のリボンに書かれているHenry Murger(アンリ・ミュルジェール)はフランス人の原作者で、1849年に出版した小説・戯曲のタイトルは「ボヘミアン生活の情景」というなんとも散文チックなものです。
その下にQUATTRO QUADRIとありますが、今ならQUATTRO ATTI、つまり4幕のことです。QUADROは現在では幕ではなく、その中の場を指す言葉です。
そして台本家の2人、んで、最後に大きく作曲家プッチーニという配置になってます。

画像はいずれもMETライブビューイングの公式HPから拝借しています。

見応えたっぷりな第2幕!一体どれだけの演者が乗ったのでしょうか。素晴らしい合唱と演技で、このプロダクションの素晴らしさを心ゆくまで体感しました。



ちょっと辛口すぎたコメントもしましたが、終わってみればやはり素晴らしい公演だったとしか。
上映は12/18までですが、東劇のみ1/1までやってます。