ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「モディリアーニ!」@AmazonPrime

260127   2025 英・ハンガリー合作 1h48m  監督:ジョニー・デップ(尊敬するマーロン・ブランドと共に、先住民の血も混じるデップ自らも出演したやや自伝的作品「ブレイブ」以後、2作目の監督作品)

題字はモディリアーニ(1884-1920)の愛称、モディ(Modi)副題は「狂気の翼で3日間」とあります。72時間を記録したものです。時代は1916年(つまり、モディが結核髄膜炎でわずか35歳で死ぬ4年前)、欧州は第1次大戦の真っ最中。そんなパリのモンパルナス地区で物語はスタートします。

いきなりのアクションドラマ仕立てでちょっと驚きます。さんざん暴れ回った挙句ステンドグラスを突き破って路上に転落するモディリアーニリッカルド・スカマルチョ)です。突き破ったステンドグラス、有名なカフェ、Le Dôme(ル・ドーム)の看板とも言えるステンドグラスだから、大変。警察に追われる身となります。

随分ドタバタな演出かと見ていると、一転、その頃つるんでいたモーリス・ユトリロや、ベラルーシ出身で、腐った牛肉などを画題にした一風変わったシャイム・スーティンなどが登場、金もなく、毎晩のようにイタリア出身のモディを贔屓にしているイタリア人女性経営の軽食堂でただ酒をくらって、自堕落な生活ぶり。

その頃、つるんでいたもう1人、藤田嗣治が出てくるかと楽しみにしていたのに、これは全面無視!多分、ふさわしい俳優がいなかったんでしょうかね。

パリが舞台なのに、なぜ?と強く愚亭が拒否反応を示したのが、会話が英語ってこと!ここはパリ、主演役者はイタリア人!!!いくら監督が米人だからと言って、なにも英語にすることはないでしょう。「ああ、こりゃダメだ!」って、大いに失望!でも、見続けましたよ、しょうがないから。そのうち、徐々に違和感が減少していきましたけど。

それと、彼のミューズだったジャンヌ・エビュテルヌが出てくるか、これも楽しみにしていたのですが、出てこず。代わりに、ジャーナリスト・文筆家のベアトリス・ヘイスティングスアントニア・デスプラ)と芸術論を戦わせるシーンが結構長々と。ちょっとだれますね、この場面は。

気になるから調べたら、ジャンヌとの出会いはまさにこの話の翌年、1917年からモディが死ぬまで。ちなみにジャンヌはモディの亡くなった翌日、実家の5階から飛び降り自殺。お腹には第二子が宿っていたという悲劇的な死でした。

この辺りのことはモディを描いた最初の作品、「モンパルナスの灯」(1958)に詳しく描かれています。監督はジャック・ベッケル、出演はジェラール・フィリップ、リリ・パルマー、アヌーク・エーメ、リノ・ヴァンチュラで、愚亭はリアルタイムで見てかなりショックを。次はアンディ・ガルシアがモディに扮した「モディリアーニ 真実の愛」(2004)で、これも見ています。

原題は「モンパルナス19番地」

原題はただモディリアーニアンディ・ガルシアの恋人役はエルザ・ズィルバーシュタイ
さて、本作に戻って、後半、米人コレクター&画商、モーリス・ガニャが登場しますが、これはアル・パチーノを出すために作ったキャラクターのようで、実際にはモディとの絡みはあまりなかったようです。やはり、本作におけるアル・パチーノの存在はすごいです。ただ、そこにいるだけの圧力といいますかね。

この画商に絵画作品の数点を二束三文に値踏みされ、たまたまバッグに入れていた彫刻作品に目をつけたガニャが、これには法外な高額をつけますが、売り物じゃないと頑強に拒否、逆にガニャのような人物を散々こき下ろします。この場面、イタリア系のパチーノとイタリア人のスカマルチョの行き詰まるようなやりとりがど迫力を生んでます。

時に無声映画やモノクロ画面にしてみたり、なにやら遊び風な展開もありますが、まあまあの作品だったかな。ベアトリス役のアントニア・デスプラ、あまり魅力がなく、愚亭にはミスキャストかもと思わせたキャスティングでした。