ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

江戸文化フォーラム

今日は白金にあるシェラトン都ホテルで行われた標題のフォーラムへ。
これは「旅の文化研究所」が主催するイベントで、今回は4回目。
f:id:grappatei:20101006193115j:image:leftまずは何故か講談から。一龍齋貞山の「大岡政談」
f:id:grappatei:20101006193229j:image:left続いて基調講演はヒット作「あかね空」などで知られる作家山本一力による「江戸の旅」。作家になる前の前歴は何と旅行業。昭和41年に高校卒業と同時に近畿日本ツーリスト入社で、厳しい先輩から徹底的に鍛えられたことが、後の文筆業にも大いに役立ったとか。江戸の旅とは言うものの、もっぱらジョン万次郎の話で終始。これがなかなか聴かせるものだった。とかく文筆家って、存外口下手な一が少なくないが、この人、しゃべりが実に上手い。間の取り方など、感心しきりである。
ジョン万次郎がいかに難破して、渡米に至ったのか、また米西だけでなく、東部ボストンに行くことになった経緯について、詳述し、大変面白く伺った。ジョン万次郎の記念館が、ゆかりの地、ボストン郊外のフェア・ヘヴンにあり、そこのサイン帖には訪問者が多数サインしている。天皇皇后も控えめに署名されていて、さすがにそのすぐ後は恐れ多く、かなり間が空いているとか。そんな中、更に頁をめくると頁一杯にデカデカと自由民主党幹事長小沢一郎とある。品のなさには呆れるばかりと。

ついでに、この人、高知県出身だが、今の龍馬ブームにチクリ。いくらフィクションでも余りに脚色されていると。龍馬の陰で、ほんとに大事を成したのは寧ろ岡慎太郎であると断言。そう言えば、10月5日朝日朝刊「オピニオン」欄にも同県出身の精神病理学者・評論家、野田正彰氏が似たようなコメントをしている。曰く、龍馬にしがみつくのは成熟拒否であり、人格的に未成熟だから起きる現象とばっさり。龍馬が仮に明治以降を生きながらえれば時代を切り開く若々しいイメージを投影することは難しかったろうという見解。龍馬を否定的に言うつもりは毛頭なく、ただ勝手な使い方にはうんざりということ。
f:id:grappatei:20101006193829j:image:left最後にシンポジュム「江戸と伊勢」パネリストは左から加門七海(作家、水を飲んでいる)、櫻井治男(伊勢代表、皇學館大学教授)、小高 賢(歌人・評論家)。一番左は司会の神崎宣武。ちょっと喋り過ぎだが、展開する自説、面白い。
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