ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「セラフィーヌの庭」

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101008 岩波ホール 原題:Séraphine 126分 フランス、ベルギー、ドイツ [監]マルタン・プロヴォスト [出]ヨランド・モロー(「パリ、ジュテーム」)、ウルリッヒ・トゥクール(「善き人のためのソナタ」、「アイガー北壁」)

実在の画家、セラフィーヌ・ルイが主人公。時代は1914年-1935、舞台はパリ近郊のサンリス(Senlis)、シャンティイー(Chantilly)など。

風と戯れ、木々と語らい、土に命の息吹を感じ、小川に遊ぶ、そんな自然児そのもののセラフィーヌ。学問もなく、係累もない、ただ家政婦をしながら、誰に教わるわけでなく、気が付けば自家製絵具(と言えるほどでもない顔料)で自然に咲く花々を描く日々。

たまたま近所の屋敷で世話をすることになったドイツ人ウーデが、時代の先を見る目を備えた画商だったことから、セラフィーヌの人生が激変する。果たして、それはセラフィーヌが望んだ方向だったのか。一瞬の幸運とその後に来る予期せぬ運命とは。

セラフィーヌを演じるヨランドさん、「アメリ」や「パリ、ジュテームの「ヴィクトワール広場」編(諏訪敦彦監督)に出たらしいがまったく記憶にない。ロシアの農婦を思わせる、いかにも鈍重で無知な女性を見事に演じている。彼女がいないと、この作品は出来なかったと思わせるほどの存在感だ。

彼女が描く作品はいわゆる素朴派に属する画風で、知られているところでは、あのアンリ・ルソーがいる。(因みに日本では山下 清谷内六郎がこの派に分類されるらしい)


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