ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「女神の見えざる手」

180904 MISS SLOANE 米 2016 132分 監督:ジョン・マッデン(「恋に落ちたシェークスピア」'98 ,「マリゴールド・ホテルで会いましょう」'11, '15)

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封切られた際に見損なっていた作品が近くの映画館にかかっていたので、台風の余波で強風の中、でかけた。

早口で法律用語が飛び交い、わかりにくい面もあるが、よく練られた脚本であることは間違いない。それとジェシカ・チャステインの堂々たる演技が本作を支えている。

アメリカでのロビー活動のほんとの凄さ、ロビイストプロ集団の怖さが実感できる内容であり、こういうのを見ると、日本の政界の平穏さというか、ノーテンキぶりが際立って仕方ない。

これはフィクションではあるが、米政界では、恐らくほぼこうした凄まじい舞台裏での攻防が繰り広げられていることは容易に想像できる。

この主人公スローンは、銃規制法案を巡って、自らの主義・主張に従い、擁護派のロビー会社から規制派に乗り換えるわけだが、部下全員を引き連れて、風のように移っていく。(実は、トロイの木馬よろしく、一人だけ敢えて残していくのを忘れない周到さ。これが後で効いてくる)

手段を選ばない、あまりに強引な手口には彼女を引き抜いた上司(マーク・ストロング)も手を焼き、ついには見限り、どこから見ても不利な立場に立たされ、公聴会に臨む。罪状が読み上げられる寸前に・・・。

こんなに知謀の限りを尽くし、謀略を駆使する美貌の若きロビイストが実際に存在するとは思えないが、なにがそこまで彼女を突き動かしたかが、十分描ききっていないような気がした。

ともあれ、ジェシカあってのこの作品だろう。キャスティングにもあっぱれだ!

#65 画像はIMDbから拝借