ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「みんなで一緒に暮らしたら」

121127 銀座シネスィッチ 原題:SI ON VIVAIT TOUS ENSEMBLE? 仏独合作 脚本・監督のステファン・ロブランはほとんど無名。

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フランスのある地方都市で、仲の良い老齢男女5人(夫婦2組と男性一人)が、とあることがきっかけで、一緒に暮らすことに。全員が大賛成でこうなったわけではないから、そこには日々些細なことで小競り合いがあり、それがユーモラスなタッチで描かれていて笑わせる。

日本人も昨今、こうしたケースが増えつつあるが、夫婦単位というのは、まだ少ないだろう。日本人の場合と決定的に違うと感じたのは、この年齢(多分平均75歳)でも、男女とも互いにセクシーでいたいと痛切に願っていることで、そんなシーンも遠慮がちに登場する。

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⬆中でも女房に死なれて独り身のクロードは、今でもバリバリの現役でいたいらしく、身体は言うことを利かないのに、頻繁に商売女との交流がある。更に40年も前に、今は一緒に暮らしているアニー(左、ジェラルディン・チャップリン 68歳)、ジャンヌ(右ジェイン・フォンダ 75歳)と関係を持っていたことが、古い手紙から発覚して、大騒ぎに。結局、大昔の話ということで、決裂は免れる。

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ある日、彼らの面倒を見てくれる若い男性ディルク⬆(ダニエル・ブリュール)を住み込みで採用し、雑用全般を引き受けてくれるので、大いに重宝する。とりわけジャンヌのお気に入りで、認知症進行中の亭主を置いてディルクを散歩に連れ出しては、きわどい会話を楽しむことすらして、ハラハラさせる。

最後は、このジャンヌが亡くなり、生前手配していたピンクの棺桶に納まり、遺言通り、皆でシャンペンを開け、グラスを納棺前に棺の上に一人ずつが置いて、何気なく立ち去って行くのだが、実にシャレたエンディングであった。

75歳のジェイン・フォンダ、さすがに若い頃から鍛えた肉体だけに、見事なプロポーションで、7歳も年下のジェラルディン・チャップリンの方が老けて見えたほど。それに嘗てロジェ・ヴァディムと結婚していただけあって、フランス語も実に上手い。この作品、珍しいことに、主役がアメリカ人二人、ドイツ人一人、フランス人3人という構成。

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