140219 葡・仏合作 91分 原題はポル語と仏語で、O GEBO E A SOMBRA GEBO ET L'OMBRE (ジェボと影)
何はさておき御年105歳になるマノエル・ド・オリベイラ監督が2年前、103歳で撮った作品ということだから、あの新藤兼人を凌ぐ偉業だろう。それだけでも見る価値があるのだが、加えて、ジャンヌ・モロー(86)とクラウディア・カルディナーレ(76)の初共演というところにも惹かれて岩波ホールまで見に行った。
このホール、シニアでも1500円。一般の劇場とは料金システムが違うから仕方ないのだ。それにしても、2000円出したのに、切符だけよこして「はい、次の方!」はないだろう。いつもながら、ここの窓口は誠に不快だ。ついでに言えば、スクリーンも昔の映画館並みに小さいのと、舞台のかなり奥に引っ込んでいるから、前から4,5列目ぐらいで見るのがちょうどよい。
⬆二大女優のこの笑顔はどうだ!撮影時は74と84だが、カルディナーレは実年以上に見える。
この作品、戯曲を映画化しただけあって、動きも場面転換もほとんどないから、まるで舞台を見ているかと錯覚を覚えるほどだ。ひたすら固定したカメラに延々とせりふが流れる。それにしても、画面造りが実に渋く、冒頭,港のシーンから時代の雰囲気をたっぷり感じる。
長男が家を飛び出して、すでに8年。うだつの上がらない帳簿係ジェボ(ミシェル・ロンスデール)は、古く、せまい家に、老妻ドロテア(カルディナーレ)と嫁ソフィア(レオノール・シルヴェイラ)と細々と暮らしている。時折訪ねてくるカンディア⬆(モロー)と世間話に興じるぐらいしか楽しみはない。ドロテアには最愛の息子失踪の理由を知らせることができないでいる心優しいジェボ。
ある日、突然、息子が帰ってくるのだが・・・更なる苦しみが。そして、意表をつくラストシーンは、同監督の「永遠(とわ)の語らい」(2003)にそっくりだ。
#14 画像はALLCINEMA on lineから