ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「高地戦」

121128 六本木シネマート 初めて行った映画館。ヘーッ、こんなところに映画館?というような周辺のたたずまい。

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韓流メロドラマはまったく好きになれないが、こういう作品には優れたものが少なくないこと、認めざるを得ない。これもその典型例。

1953年の朝鮮戦争停戦を巡る裏話。ほぼ全編、壮絶な戦闘シーン。停戦ラインを巡って、同じ民族でありながら、死闘を繰り広げるのは何と言う悲劇か。中国、米国を巻き込んで停戦合意に達するも、発効まで12時間あるということから、少しでも自国に有利なラインを得ようと、戦い、主人公を除く全員が壮絶な戦死を遂げる。

停戦合意文書に双方が署名したことで、兵士達は生還できたことに喜びを爆発させる。それだけに、上層部からあと12時間、何としても問題の高地を奪還せよと命令され、絶望感が広がる。50万人以上が僅かな期間に戦死して、最後に誰が勝利したのか、甚大な犠牲で得たものは何か。我が国の敗戦時の状況と比較しながら、深く考えさせられてしまう作品。

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一昔前の戦争映画のド派手な爆発音、機銃掃射音に比べると、最近の作品では、地味なプシュというような抑えた音になっているのと、ハンドカメラによるカメラワークが素晴らしく、戦闘シーンには圧倒的なリアルさを感じてしまう。

敵側(北)に「2秒」と渾名をつけられたスナイパーがいて、韓国軍から恐れられていて、被害は広がる一方。撃たれてから2秒後に狙撃音が聞こえるのが理由。犠牲者を出しながらもついに捉えてみれば、これがなんとうら若き女性というような挿話も盛り込まれていて、133分と長尺だが飽きさせない工夫、随所に。久々に見応えタップリの戦争映画。

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