ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

ミュージカル「ノートルダム・ドゥ・パリ」@シアター・オーブ

130313  シアター・オーブでミュージカル「ノートルダム・ドゥ・パリ」を見た。「レミゼ」同様、ヴィクトル・ユーゴーの原作をミュージカル化したもので、98年、フランスでの初演以来、爆発的な人気を得て、世界中で公演されている。作曲はイタリア系フランス人リッカルド・コッチャンテ(リシャール・コクシアント)。

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歌もいいが、踊りが素晴らしい。かなりアクロバティックな要素が含まれていて、のっけから、ロッククライミングまがいの場面多し。中盤以降も上から吊るされた不安定な動きをする大型の釣り鐘の中、或は上に目まぐるしく移動してのダンスは危険この上なく、見ている方がハラハラするぐらいだ。

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 物語は、既に何度か映画化されているが、このミュージカルもほぼ原作通りの展開。映画として我々世代が知っているのは1957年のジャン・ドラノワ監督、ジーナ・ロッロブリジダ、アンソニー・クィン、アラン・キュニーのもの。ジーナな美しさとクィンの不気味さの対比が面白かった。

 

音楽についてだが、レミゼや他のミュージカルに比べると、単独で頻繁に歌われる曲が少ない、というかないに等しい。恐らく開幕直後に歌われる「カテドラルの時代」が唯一、その資格があるのか、という感じだ。おしなべて単調で、メリハリに欠けると言えば言い過ぎかな。

 

それとコスチュームやメイクが地味過ぎていて、キャラクターが埋没しているのが残念。もう少し主役達を目立たせる工夫がなかったのか。

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両側に字幕が出るが、舞台挨拶時には「写真撮影出来ます」と表示されるのは嬉しい。他の劇場も是非見習って欲しい。2階席からの望遠だと、せいぜいこの程度にしか映らないのが残念!

 

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幕間、ロビーから眼下の東急東横店の屋上を見下ろす。まだ屋上遊園地があるのには驚いた。左の蒲鉾屋根は東急東横線のターミナル。間もなく地下に移るため、今日も改札口周辺は写真を撮る人、極めて多し。

昨年開業したこのミュージカル専用劇場、今回が初めてである。ひかりえ(元東急文化会館)の11階-16階を使った贅沢な空間はほぼ2000席の収容力を誇る堂々たる劇場。パリのオペラ・バスティーユによく似た空間だが、更に上質さを感じた。今回2階正面の中段で見たが、音響も優れていて、文句なし。我々の少し前に小泉元首相が友人数人と陣取っていた。もともと歌舞音曲大好き人間だけに、ほんとに今の自由気ままな身分を堪能している様子。終演後、我々は軽食を食べに7階のレストラン階に降りて店を物色していたら、またも出くわした。みんな盛んにシャッターを押していて、中にはツーショットで記念撮影する者も。いちいち嫌な顔一つせず応じていたが、この辺りにも彼の人気の秘密があるんだろう。