ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「チョコレートドーナツ」

140519 原題:ANY DAY NOW (今日にでも)米97 [監・脚]トラヴィス・ファイン

いわゆる感動ドラマで、最近やたらに増えた実話を元にした作品ということ。どこまでが実話で、どこからがフィクションか、不明。

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ゲイのカップルが、親に棄てられたダウン症の子供を自分たちで育てようとするが、当時(1970)の社会風土では、裁判所もこれを認めず、結局悲劇を生むという、米映画には珍しいアンハッピー・エンディング。

 

シンガーを目指すも、機会に恵まれずゲイバーで口パク出演するしかないルディー(アラン・カミング)、ある日、客席にじっと自分の姿を見つめる客に気付く。やがて深い仲になるポール(ギャレット・ディラハント)だ。

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安アパート暮らしのルディー、隣室に住むダウン症の少年アイザックが身勝手な親に虐待され、棄てられそうになっていることに心痛める。検事をしているというポールに相談に行き、当初はこの件に冷淡なポールも、ルディーの熱意に動かされ、結局、自分の家に3人で住むことに。

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しかし、世間の目はそんな3人の幸せを放っておかない。ポールは法律事務所をクビになり、通報されたこの”家族”は訴えられ、裁判に。必死の訴えも空しく、敗訴。そして・・・・地方新聞の片隅に載った小さなマルコの死亡記事を関係者に郵送してこの話は終わる。

 

だが、ルディーは、自分がアチコチに送っていたデモテープに関心を抱いたあるプロデューサーにより、やっと歌手としての道が開け始めるところで映画は終わる。この歌が素晴らしい。原題のANY DAY NOWは、歌詞の一部。Any day now, we shall be released・・(今日にでも、我々は解放されるだろう・・)

 

なんだかマルコ一人だけが犠牲になったようで、余り後味はよろしくない。ちょっと美談と感動の押し付けがましいところがイヤ味だな。

 

邦題のチョコレートドーナツはマルコの唯一の大好物。それ以外の食べ物には興味を示さない。このマルコを演じるアイザック・レイヴァ自身もダウン症で、プロの俳優。年齢不詳。スコットランド人のアラン・カミングは年季の入った演技で上手いが、もう一方のギャラット・ディラハントは特徴なくインパクトも薄い。

 

 

#41 画像はALLCINEMA on lineから