ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「フォックスキャッチャー」

150219原題もFOXCATCHER 米 135分 [監]ベネット・ミラー(「カポーティ」、「マネーボール」)実話に基づいた実録人間ドラマ。

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フォックスキャッチャーとは、米国の大富豪デュポン家にある農場の名前。ジョン・デュポンはその時代の当主。

時代は1985年頃。84年のロサンゼルス・オリンピックのレスリングで金メダルを取ったデイヴ(マーク・ラファロ)とマーク(チャニング・テイタム)シュルツ兄弟は、次のソウル・オリンピック(88)でも金メダルを期待される存在。

とは言え、マイナー種目の悲哀で、世間から注目されることもなく、特に弟のマークは独身で独り住い、モチベーション維持に必死だ。日常のトレーニングだけでなく、生活面でも兄デイブが何くれとなく気にかけてくれるおかげで、なんとかやさぐれることもなく過ごす日々。

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そんなある日、受けた一本の電話が彼の運命を劇的に変えるのだった。突如呼び出されたのは広大な屋敷。相手は・・・大富豪、ジョン・デュポン!!!一体俺に何の用があるのか、戸惑いっぱなしのマーク。映画を見ている方も一体何が始まるのかいぶかるしかない。この辺の展開の仕方が実にうまい。

実はこの人物、鳥類学者としても立派な著書もあり、知られた人物だが、スポーツに対する関心も人一倍で、フォックスキャッチャーと称する農場の一部にレスリング・ジムを備えているほど。そう、彼を、信じられないほどの高額でスカウトしたという訳。

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マークにすれば、断る理由もなくフォックスキャッチャー・レスリングチームの一員に。ジョンは実際は兄、デイヴの方により興味があり、マークを通じて兄弟共に迎えようとするが、すでに充実した家庭環境にあるデイブは高額を積まれても首を縦にふることはなかった。

だた、ジョンは諦めないと同時に、次第に奇妙な言動が見え始め・・・これが悲劇の大いなる伏線へと。それにしても、いくら大富豪とは言え、自邸に装甲車を持ち込み、機関銃を搭載するしないの話を武器商人と交わすあたりから、その後の展開にこうした武器が登場するのかと。

ジョンを演じるスティーブ・カレル、かなり以前に見た「リトル・ミス・サンシャイン」に出ていたとは、まったく気づかなかった。それもそのはず、このメイクの凄さよ。特徴的な鼻を始め皮膚の感じや口元、頭髪など徹底的に実際のジョンに似せているから、見破れなくても無理はない。(⬇︎これが実際のカレル)

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チャニング・テイタムは、もともとがっちりした体格であるが、マーク・ラファロはこの作品の為に15kgも増量したらしい。

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レスリングの特訓を3ヶ月以上もテイタムと受けた効果は抜群で、とても素人には見えない。この辺りの徹底ぶりは凄まじい。日本の俳優も少しは見習わないと。

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悲劇が起きる寸前のデイブ。そこへジョンの車が近寄ってくる。弟のマークは、余りに幼い頃からの境遇がジョンに似ていたことから疎まれ、兄デイヴは、恵まれた家庭環境にあることからジョンにそねまれたのか。

結局マークは期待された金メダルをソウルでは取れず、失意のうちに、プロレスラーに転身。ジョンは、収監された後、獄中で病死。

ジョンの母親役でヴァネッサ・レッドグレーブが登場する。端役だが、存在感、たっぷり。

#010 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから