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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「母と暮せば」

160304 脚本・監督:山田洋次

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予告編で何度も見て、本作を見にくことはないと思っていたのだが、合唱時間前の時間調整で図らずも観ることに。

予告編での二宮和也のあまりにもオーバーな演技に辟易したのと、吉永小百合がそもそも好きな女優でないからである。むしろお気に入りの黒木 華見たさに行ったのかもしれない。

ところが、本編を見て、あのオーバーな演技は予告編で使われたほんの1シーンだけであり、全体で見れば、特にそんな印象もなく、むしろなかなかの好演だったことが分かり、予告編だけ見て下したいい加減な判断、さすがに我ながら恥ずかしい。

同じ井上ひさしの書いた「父と暮せば」(2004)と対をなす作品で、構想しているうちに本人が亡くなってしまったので、それをベースに山田洋次が脚本を書いたということらしい。「父と暮らせば」を書けば、なるほど長崎版の逆バージョン、つまり子供が死んで親が生き残るという話を作りたくなるのはうなづける。どうせなら、両方見るほうがいい。

全体によくできていると思うが、いくらなんでもあのエンディングはない。あれで、ガクッときたね。なぜあのような天国を思わせるような素人合唱団を加えたのか、意図不明。教会のバージンロードを母子が手を取り合って歩くというのも、いかがなものか。ちょっと悪趣味が過ぎよう。

それと、「ファンタジア」のパクリのようなシーンがある。オーケストラの演奏シーンを影絵のように幻想的に描く場面。どこかで見たと思ったら、ディスニーのあの場面だった。それともディズニーへの単なるオマージュかな。

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父と暮せば」の主人公、美津江(宮沢りえ)は、自分が一瞬かがんだことでたまたま生き残り、その場に居あわせた親友を死なせたことで、ずーっと罪悪感を持ち続け、自分は幸せになってはいけないと言い聞かせるが、本作での町子にも同じようなセリフを言わせている。

浅野忠信は、「父と暮せば」でも、似たような役柄で、ちょっとだけ登場するのが面白い。

もう一つ、冒頭、原発が炸裂する瞬間の描写が斬新だった。インク壺が一瞬にして溶け、あとはフィルムが焼け焦げたようにめちゃめちゃな映像が続き、そこからカラーになっていくところは秀逸。

#16 画像はALLCINEMA on lineから