ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

カポディモンテ美術館展へ

f:id:niba-036:20100730102450j:image:left上野の西洋美術館で開催中のカポディモンテ美術館展へ。平日、閉館1時間前、更に雨という条件下で、館内はガラガラ。こんなにゆったりと見られた展覧会も珍しい。

この美術館については、その存在すら知らなかった。カポディモンテと言えば、同名の焼物でしかイメージが湧かなかった。
カポディモンテ、即ちcapo di monteとはイタリア語で「山の上」のこと。事実、ナポリの小高い丘の上に陶器工場とこの美術館があるというわけだ。

なんでも16世紀にブルボン王朝のカルロ7世(後のスペイン王、スペイン・ブルボン王朝2代目、フェリペ5世の子カルロス3世)が建てた宮殿に、ブルボン家とファルネーゼ家(母方)がそれぞれ収集した作品を展示しているとか。

今回の展示品は大小合わせて80点だそうだが、正直なところ、見ものは数点程度。
←この絵は、中でも目玉的存在。確かに一目で他を圧する存在感がある。全体の色調も素晴らしいが、細部に亘って、まことに絢爛豪華。人体的にはやや変則というか、違和感がないわけではない。顔が正面向きで胴体はやや右にひねった姿。それを強調するため、殊更右肩がグイーっとばかり前に突き出されて描かれている。気品にあふれた作品だ。
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ひとつ大事な作品を忘れていた。それが↓の「ホルフェルネスを殺すユーディット」。相当残酷な絵柄だが、描いたのは女流画家、アルテミジア・ジェンティレスキ。1612年ごろの作品で、彼女が21歳の頃というから、かなりの技量の持ち主であることが分かる。この時代の絵画界は男性社会ゆえ、折角いい腕を持ちながら、無視されるという悲哀を味合わされ、更に父が採用した絵の先生からレイプされるという事件が起きる。その頃の作品ということで、その辺りの心理状況が絵の中に出ているとも。後にカラヴァッジョの影響を強く受けるようになるが、その前の作品。カラバッジョもこの主題で作品を残しているが、アルテミジアのものと比べるとやや地味な印象になっている。
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