131028 原題:DANS LA MAISON (「家の中で」)この邦題は巧い。[監督・脚本]フランソワ・オゾン [出]ファブリス・ルキニ、クリスティン・スコット・トーマス、エマニュエル・セニエ、エルンスト・ウンハウアー
フランスの香りがプンプン匂う、いかにもフランソワ・オゾンらしいサイコ・スリラー。二転三転,目まぐるしい展開もどんでん返しもないが、ジワジワと、知らぬ間に引きずり込まれる作り込み方は、見事。
主人公は高校の国語教師ジェルマン(ルキニ)、小説家志望の夢破れ、今はパリの名門高校勤務。市内で前衛作品専門のギャラリー「ミノタウロスの迷宮」を経営する妻ジャンヌ(スコット・トーマス)と、そこそこ裕福で充実した二人暮らし。
教え子の一人、クロード(ウンハウアー)の作文に目を留めたジェルマン、並々ならぬ作家才能が隠れていることに気づく辺り、さすが小説家志望だけある。
一方のクロード、実は貧困家庭の出、秀才、且つ美貌であるが、自分の才能には気付いていない。ジェルマンに促されて、中流階級出のクラスメートのラファの家族関係を描写し始める。
いつしか、クロードの作品にのめり込むジェルマン、つられるようにして関心を示し始める妻ジャンヌ。”物語”は知らぬ間にどんどん暴走して・・・。
クロードの狙いは?羨ましい中流階級であるラファ一家の崩壊か、それとも・・・。また、ジェルマンはクロードに何を期待し、どうしようと思ったのか。二人の、そして巻き込まれたそれぞれの家族が辿る道は、予想を越える方向へ。
クロードを演じるエルンスト・ウンハウアー、名前からしてドイツ人かと思ったら、シェルブール生まれのフランス人。エルンストはマックス・エルンストから取ったというから、美術好きの親だったのか。玉木宏を白人にした感じの24歳。「ヴェニスに死す」のビョルン・アンドレセンを彷彿とさせる美少年振り。
#60 画像はIMdbとALLCINEMA on lineから。