180524 OH LUCY! 日米合作 95分 製作(共同)・脚本・監督:平柳敦子
2014年、同じ監督が作った同名の短編(僅か21分、桃井かおり主演)のリメイクだとは知らなかった。しかも、昨秋、NHK総合で73分枠でドラマとして同じキャスト陣で放映している。まったく気付かず見損なったが、今回の劇場版はそれより少しだけ継ぎ足して製作。足した部分は「ああ、あそこの場面!」とすぐ推測できる。そりゃNHKだもの、無理だわ。
汚部屋住まいのオールドミス(と言っても43歳という設定なら、必ずしもこの表現は正確ではないし、そもそもオールドミスって、今や死語になっているのかも)の節子(寺島しのぶ)、つまらない会社でつまらない仕事をし、友達もいず、ただ都会の隅で生きているっている感じ。今朝も通勤途上で、乗ろうとしていた電車に飛び込み自殺する男を目の前でみちゃって、ますます鬱々たる気分。
そんな中、姪(自分の恋人を盗んだ不仲の姉、綾子【南果歩】の一人娘)から珍しく電話。何かと思えば授業料一括支払い済みの英会話クラス、やめるけど返金なしだから、自分の代わりにどうかと。ついては、払い込んだ60万円、なんとか工面してくれないかという虫のいい話。ま、カネは一応持ってるし、やることもないから、言われる通り、まずは無料体験してみる気に。ところが・・・
外観も内部も、見るからに怪しげな教室!その上、胡散臭い先生、ジョン(ジョッシュ・ハートネット)から、いきなりハグされるわ、金髪のカツラをかぶせられるわ、極め付けはルーシーなる源氏名をつけられるという、訳のわからない教え方に戸惑うばかりの節子。ついでに、同じクラスに通うトムという源氏名の小森(役所広司)と知り合うことに。
せっかく好意を持ち始めた矢先、ジョンは、なんと当の姪とカリフォルニアに帰国してしまう。後釜はつまらんおばちゃん。即刻英会話学校を辞めた節子は、この後、会社に休暇届を出して思い切った行動に。
口も利きたくないほど仲が悪いのに、すったもんだの挙句、一緒に姪を探しにカリフォルニアへ旅立つ。あとは珍妙な事件が続き・・・・。
この平柳敦子なる映画人、まったく知らないけど、かなりの才人に違いない。実に無駄のない作り込み方で、ひたすら感心する。前半はおかしくおかしくて、周囲(と言っても、観客総数10人以内)を憚るほど笑ってしまった。
寺島しのぶの圧倒的な演技が光る。こういう役をやらせると、上手いねぇ〜、右に出る人、いないかも。美形でないところがまたいいのです。
ジョッシュ・ハートネットのような、一応名の知れたハリウッドスターがよくぞこういう映画に出演してくれたと、日本の映画ファンとしては、感謝したい気持ち。
ともあれ、胸のすくような、小気味良い作品!
#40 画像はIMDbから。