ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「田園の守り人たち」

190712 LES GARDIENNES (守る人、管理人)脚本・監督:グザビエ・ボーヴォア 音楽:ミシェル・ルグラン

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朝から日が暮れるまで、牛の乳搾り、大きな牛2頭を操りながらの畑の耕起に汗を流し、作物の刈り取り、種まき、合間に洗濯、料理、アイロンがけ等々、なんでもこなし、雇い主からも期待以上と気に入られ、一月だった契約も少しずつ延長してくれ、やがて来年もぜひいておくれとまで言われ、有頂天。なのに突然の解雇宣告とは!

大きな農場をきりもりする老齢のオルタンス(ナタリー・バイ)は、二人の息子(コンスタンとジョルジュ)と、一人娘ソランジュ(ローラ・スメット)のつれあいクロヴィスと3人もの頼みの男手を戦争に取られ、とてもこれまで通りの作業をこなせないと思い悩む日々。

そこで村長から若い娘、フランシーヌ(イリス・ブリー)を紹介され、さっそく雇い入れることに。すると無駄口一つ叩かないで、黙々と細かい作業から力仕事までこなしてしまうフランシーヌを気に入り、契約期間の延長まで提案するほど。

そこへ次男ジョルジュが一時帰休で戻ってくることで、事態は一変する。年頃の男女が一つ屋根で生活し、農作業も一緒にこなすことになれば、なにかが起こらないわけがない。たまたま村には前線へ送られる前に一時滞在するアメリカ兵が駐屯して、農場にも手伝いに。

この中の手の早い男とソランジュが間違いを起こし、気づいたオルタンス、濡れ衣をフランシーヌに着せて、ジョルジュのフランシーヌへの思いを断ち切り、同時にソランジュの名誉を口さがない村人から守ろうとしたことから、急展開、やがて・・・

まるでミレーやコローの絵のような世界が広がる大地を舞台に、第1時世界大戦の荒波に翻弄される農村一家の日常風景や、一家の次男とよそから手伝いに入った若い女との瑞々しい恋愛を、ミシェル・ルグランの美しい調べに乗せて綴る秀作。

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オルタンス(ナタリー・バイ)とソランジュ(ローラ・スメット)は実の母娘である。

この二人、実の母娘だけあって、演技の息の合うこと!ちなみに本作がフランスで公開された、その日にナタリー・バイの連れ合いであり、ローラ・スメットの父であるジョニー・アリデイ(Johnny Hallyday)が亡くなったというのは妙な因縁。

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Johnny Halliday

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えらく若作りのナタリー・バイ(現在70歳)

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フランシーヌ役は新人、イリス・ブリー。体型もがっちり、顔のつくりもいささかごつくて、この役にはぴったり!

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森の中のジョルジュの秘密の場所にある巨石で、二人が愛を確かめ合うシーン。

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絵のような種を蒔く場面。ゴッホを思い出した。

他にもフランシーヌが盥で湯浴みする後ろ姿は、まさにロートレックの絵、そのもの。監督もそれを意識したように思われて仕方ない。

ところで、この監督だが、脚本、監督より出演の方が多いという変わり種。「永遠のジャンゴ」(2017)にも出ていたが、「マリー・アントワネットに別れを告げて」(2012)では、ルイ16世を演じていた。⬇︎はその時のワンシーン。

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左に立つのがルイ16世のグザビエ・ボーヴォア

#44 画像はIMDbから