ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「クロワッサンで朝食を」

130920 原題:UNE ESTONIENNE A PARIS(パリのエストニア女)エストニア・フランス・ベルギー合作 95分 []イルマル・ラーグ []ジャンヌ・モロー、ライネ・マギ

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異国で出会う、年齢も、育ちも、家族環境もまったく異なる同郷の二人の女、反発しあいながらも、やがて寄り添い、ほのぼのと静かな時が二人の間を流れるのだった。

 

大酒飲みのぐうたら亭主と別れ、認知症の母親を看取ったアンヌ、子供達はそれぞれの生活があり、一人になってみて、ひしひしと孤独を味わう。ある日、老人ホームから、パリで老女の介護の仕事があるがどうかとの問い合わせ。仏語は錆び付いてるが、まだ使えそうだ。それにパリは憧れの土地。でも、踏ん切りがなかなかつかない。娘に相談すると、行くべきと言われ、決心が固まる。

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一方、16区の高級アパートに独り住まいのフリーダ、とっくに亭主と死に別れ、若い男とも付いたり離れたり。でも、もうすっかり老いた。近所に、彼女に資金を出してもらってカフェを経営するステファンが時折、彼女の様子を見に来る以外、単調な日々。

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⬆ステファンも、徐々に忙しくなりつれ、彼女に構う時間も惜しむようになってくる。どうせなら、同郷の女性がいいと思って、アンヌにフリーダの面倒を見てもらう契約をするのだった。

 

そうして、ぎこちなく始まったアンヌとフリーダの世界だが・・・・。

 

まぁ、この後は、大体想像できるような展開である。同郷ゆえにあえて反発したくなるフリーダのアンヌに対するいやがらせも、だだっ子のように、むしろ微笑ましく見えてしまう。

 

しかし、彼女のプライバシーについ深入りしたアンヌに、とうとう心にもない暴言を吐いてしまうフリーダ、反射的にアパートを飛び出したアンヌも、今更故郷に帰れない。一晩中パリの街をさまよい、結局足が向いたのは飛び出したところだった。「そうよ、ここがあなたの家なのよ!」

 

アンヌのパリ到着時、シャルル・ドゴール空港で荷物を待つ時に流れるジョー・ダッサンのSi tu t'appelles Mélancolieが効果的に流れる。

 

ジャンヌ・モロー、老いてますますの凄み。腹の出具合が少々気になるが、まだまだ矍鑠たるもの。エストニア人女優のライネ・マギさんもなかなかすっきりした美人だが、いくら時代とは言え、ミニスカはどうだろうかねぇ。余り似合わないというより、そういう年齢じゃないしね。

 

この作品、封切り直後はシネスィッチ銀座単館上映で、開映の1時間半も前に行って満員だったと、その頃は諦めていた作品。やっと複数館で上映が決まったが、もうガラガラである。

 

この邦題、「ティファニーで朝食を」をもじったようだが、興行的にはこの邦題は大成功で、考えた人はしてやったりだろう。でもさ、原題のままがよかったね。因に英語のタイトルはA LADY IN PARIS。要は、パリで暮らす二人の女に焦点を当てた作品だからである。原題も英文も単数だから、どちらの女を指しているのか。

 

#77 画像はALLCINEMA on line