ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「パッション」

131008 原題もPASSION こういうのは邦題つける方は楽チン極まる。パッション以外にあり得ないからねぇ。独仏合作作品なれど、脚本・監督はイタリア系アメリカ人、製作はアラブ人、音楽はイタリア人、撮影はスペイン人とまことに多彩なスタッフ陣だ。

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さすがブライアン・デ・パルマ監督、上質のミステリー作品の仕上がりにはたっぷり酔わせてもらった。見てまったく損のない作品。リュディヴィーヌ・サニエクリスティン・スコット・トーマス主演でアラン・コルノーの遺作「ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて」のリメイクだそうだが、この前作は見ていない。

 舞台はベルリン、米広告会社の支社で働く3人の女性、支社長、部長、課長というところか。部長が制作したスマホ、オムニフォン(パナソニックの名前が出て来る)の宣伝動画が上層部に認められたのだが、支社長が手柄を横取り。ま、よくある話だが、女同士というところから、もつれるもつれる。それにしても女は怖いし、この手の話、我が国では起こりえないだろうなぁ。

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終盤、犯人がアリバイ作りのため、公演中のバレエ「牧神の午後」の切符を部下に取らせて見るシーンがあるが、画面が左右に分割されて、左側でバレエが進行、右側が支社長が殺されるシーンが同時進行する。なかなか面白い試みだ。これで完全犯罪、と思ったら、ギッチョンチョン。

 

支社長のレイチェル・マックアダムス(35)と部長のノーミ・ラパス(34)⬆、なにもかも対照的に描かれる。ヘア、瞳、コスチューム、顔つき。(因にこの二人は「シャーロック・ホームズ シャドウゲームズ」で共演している)ゆえに、このキャスティングだったのだろうが、3人目の女性、課長を演じるドイツ人女性、もうちょっと存在感が欲しいところ。ここだけミスキャストではないかと思ったが。後は、カメラアングルといい、音楽(ピノ・ドナッジョ)といい、見事な総合力で、問題なく佳作。

ノーミ・ラパスはスェーデン人で、「ミレニアム」三部作で話題をさらった女優。頬骨が高く、体型もやや東洋人風(つまり胴長)で、スェーデンというより、インカの血を引くように見える*、かなり異色の女優。日本公開8作中6作を見ているが、なかなかの存在感を示しており、本作でも、レイチェルさん、タジタジだ。(*母方はスェーデンだが、父親はバダホス(南部スペイン)出身のどうやらロマ人らしい。)

帰路、川崎駅地下街を通ったら、オペラアリアが聞こえて来た。何と、こんなところで樋口達哉さんがNESSUN DORMAを歌っていようとは!

 

#85 画像はALLCINEMA on lineから