ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

MUZA JAZZ NIGHT Vol.5 お正月スペシャル「ピアノ6連弾」

140105 ミューザにジャズを聴きに行った。下丸子ジャズ俱楽部には、最近とんと顔を出さなくなったので、久々のジャズ。それも名手6人によるジャズ・ピアノだから凄い演奏会。さすがに広いミューザが正月明けから満員の盛況。⬇を見れば、それもむべなるかな、である。

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名人揃いに、伝説の龝吉敏子と来れば、ジャズ・ファンならずとも駆けつけるわな。ただ、開演前や休憩時に何故かやたらに場内の撮影をしている聴衆が多かったってのは、初めてこのホールに来た人が多かった?

ま、それはともかくとして・・・6台同時のピアノ演奏を聞いたことがなかったので、どんな具合かと言うと・・・やっぱ凄いワ。迫力というか、身体の芯まで響いてくるような、とにかく今まで味わったことのないサウンドでした。

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⬆の説明にあるルー・タバキンとはフルートとサックス奏者。10歳年下の龝吉のダンナだ。龝吉は、なにせ1956年に、日本人として初めてあのバークリー音楽院に入ったからねぇ。その後、続々と日本人ジャズ・プレーヤーが入学するが、草分けはこの方。

因に、今日の出演者の一人、佐藤允彦も'66-'68,ここに留学している。後に、龝吉の家で夕食に呼ばれた際、同席の大先輩、ナベサダ('62バークリー)が怖くて仕方なかったらしいが、龝吉から、「ちょっとサダオ、地下へ行って、ワイン取ってきてよ!」って聞いて、たまげたと語り、聴衆の笑いを取っていた。さもありなん。レジェンドですから、何しろ。現在83歳で、なお現役。因に、彼女、ワイン大好き人間で、自宅セラーには常時2000本のストックがあるというから、凄い!

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龝吉さん、今日は、The Villageという曲を演奏したが、エンディングがうまく決まらず、しきりに肩をすくめてた姿が何とも可愛かった。他のプレーヤーにしてみれば、こんな偉大な龝吉と共演出来たことが、そもそも夢みたいなことで、国府弘子など、涙ぐんでいたように見えた。

後半冒頭のピアノ・ソロは、全員デューク・エリントンを演奏。佐山はSophiscated Lady, 塩谷は、C-Jam Blues, 佐藤、Satin Doll、国府、In a Sentimental Mood、そして龝吉がSir Duke (スティービー・ワンダーがエリントンに捧げた作品)を演奏。

唯一、ジャズ・ピアニストでない小原孝は、苦心の選曲で、なんと同じデュークでもデューク・エイセスのおはこ「幼なじみ」の主旋律を一本指でイントロにして、「花は咲く」を演奏。しかし、この人の演奏って、本当にきれいなサウンドで、深く心に沁みるのだ。

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この佐藤允彦は、変わった経歴の持ち主。一般大学を出てから、バークリー留学。女優の中山千夏と結婚していた時期があったとか。塩谷 哲は別のコンサートでも聴いたことがあるが、まぁ、天才ですね。

紅一点(後から二点になったが)の国府弘子、初めて聴いたが、上手いねぇ〜。ほれぼれです。それにチャーミングだし。エリントンのソロでは、弾く直前に「も〜〜〜、弾くものがない!」て叫んで場内の笑を取ってた。

佐山雅広は、割と最近もここで聴いているが、演奏だけでなく、編曲も盛んにやっていて、前半は彼の編曲を並べている。何と言っても人柄で、うまくリーダーシップを取って、こんな演奏会も可能にしたのだろう。これも彼の才能の一つ。また是非やって欲しい。

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