ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「はじまりは5つ星ホテルから」

140226 原題:VIAGGIO SOLA (女一人旅)監督・脚本・原案:マリア・ソーレ・トニャッツィ この名前、イタリア映画ファンにはお馴染みのはず。そうウーゴ・トニャッツィ。ありふれた名前ではないから、ピンと来る。ピエトロ・ジェルミの「わらの男」などに出演したフランカ・ベットーヤさんとの間に出来た娘だ。また本作で主人公の義弟、トンマーゾを演じているジャン・マルコ・トニャッツィはマリア・ソーレの兄。

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5つ星ホテルの隠密調査員、アラフォー独身女のイレーネ(マルゲリータ・ブイ)は、世界中の豪華ホテルに調査目的で泊まり歩き、住まいは高級ホテルの一室。飛行機のマイレージが溜まると、好きなところへ一人旅。自分ではこんな自由気ままで優雅な生活はないと満足の態。でも、家族のいる妹からはいつも辛口コメントで、いささかうんざり。

 

「今は充実して幸せそうでも、あと20年したら、誰が姉さんの面倒を見るの?」、「そりゃー・・・あんたよ」、「アタシが先に死んでたら」、「そうねぇ、その時はあの子たち(姪)かな」

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⬆元カレと、時折会って食事したり、時には一夜を共にすることも。でも、お互い、もう恋愛感情はないし、一緒になるつもりもさらさらない。そんな面倒なことは嫌だ。今のままがいい、と。

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⬆ある時、ベルリンのブランデンブルク門の脇にある超高級ホテル・アドロン滞在中に知り合ったイギリス人評論家の女性とすっかり意気投合、翌日、二人ででかけると約束したのに、約束の時間になっても現れない。なんと夜中に急死とは!さすがにショックを隠せないイレーネ。家族のいない辛さをこの時ほど深く味わったことはない。

 

それでも、これから一人で生きて行く決心をするイレーネ。それが一番自分らしいと言い聞かせるように。

 

7つもの5つ星ホテルが登場する。実際にそれらのホテルで撮影したらしい。この監督の母親はイタリアの有名ホテルチェーン(ベットーヤ・チェーン)オーナー一族ゆえ、特別に許可が下りたのかも知れない。

 

アラフォー女を演じるマルゲリータさんは現在51歳。思慮深い、理知的な表情に特徴があり、押さえた演技は好感できる。それにしても、監督のマリア・ソーレさん、82分でうまく撮るものだ。

 

 

#16 画像はALLCINEMA on lineから