ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「キャロル」

160214 原題もCAROL 原作は「太陽がいっぱい」、「リプリー」のパトリシア・ハイスミス。監督:トッド・ヘインズ(話題作「エデンより彼方に」2002)。製作総指揮はやたら多数だが、その中にケイト・ブランシェットも。英・米・仏合作 118分

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評判の高い作品だが、いささか違和感あり。前半には睡魔も。映像が美しいことは認めるが。1950年代初期のファッションとか、車や、諸々の小物に至るまで、再現しているところはすごいねぇ。当時の雰囲気を出すためにあえてスーパー16mmで撮影する凝りよう。

 

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もともとジャーナリスト志望のチェコ出身のテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ 30)がアルバイトをしているデパートの玩具売り場に現れた、一見してセレブ感たっぷりの優雅なキャロルを目で追いながら、まさかの”一目惚れ”。

 

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一方、離婚騒動中で、一人娘の親権を亭主ハージと係争中のキャロルも、玩具売場に忘れた手袋を律儀にも届けてくれたテレーズに興味以上のものを抱く。

 

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こうして、当時としては犯罪扱いされた倒錯した恋愛へとまっしぐら。

二人の視線が怪しく交錯するラストシーンは、どんな前途を二人に約束しているのか。

 

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ケイト・ブランシェット(45)の円熟の演技は、やはり素晴らしい。一方のルーニー・マーラの、「ドラゴンタトゥーの女」での演技とは正反対の、まことにピュアな演技も見ごたえあり。

 

蛇足だが、キャロルがテレーズに最新のカメラをプレゼントするシーンに登場するCANON、懐かしい機種だが、1952年にはまだ登場していないはず。他にも時代的におかしいと思ったのは、カップラーメン風のインスタント食品が出てくる。この辺り、せっかく当時の雰囲気を出すことに成功していたはずだけに、やや無神経で、もったいない。

 

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主演女優に挟まれているのは監督のトッド・ヘインズ(55)

#13 画像はIMdb, 及びALLCINEMA on lineから。