ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「つむぐもの」

160329 いつも聞いているラジオ番組で、大竹まことが絶賛するので、つい観る気になったが、まあまあいい映画だったかな。

脇役俳優の石倉三郎が主演というのがいいね。見るからに頑固で寡黙な人物だけに、ただひたすら紙を漉く作業に没頭する、この役には彼以上の男優は探せないほど、ぴったりはまっていた。

さらにそれ以上だったのが、韓国女優のキム・コッピ!韓国女優というと、整形しまくって、皆同じ顔に見えるのだが、彼女はそこが違う!その辺にいるごく普通の、とても女優には見えないところが、なんともいいね。よくこう言う女優を探したと思う。演技は抜群で、悪いけど、共演の吉岡里帆(連ドラ「あさが来た」で、宣[のぶ]役)など、すっかり霞んじゃった。

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ただねぇ、脚本にケチをつけるわけじゃないけど、「うん?」と思えたところが結構あった。日本語のまったくできない外国人が、アンタ、いきなり介護施設で働けるって、そりゃ無理でしょうが。

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さらに、韓国人など大嫌いという主人公、剛生(たけお)が、「誰がアンタなんかに!」といかにも韓国人らしく激しく息巻く、日本語もできない韓国人を、時間はかかったけど、結局受け入れるって、ちょっとリアリティに欠けるなぁ。ま、そこが犬童監督が一番描きたかった部分かも知れないけどね。

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⬆︎半身麻痺から、必死のリハビリで、なんとか動けるところまで回復する頃には、あれほど嫌い合っていた二人の間には、微妙な感情が通い合うようになっている。

そんなんで、大竹がほめそやすほど、ストンと心には落ちなかったけど、まあ佳作ではある。

ところで、このタイトル、初めは和紙は漉くもので、つむぐものではないのに、と思ったが、つむぐのは二人の間の気持ち、心なんだね。

#23 画像は本作のHP、およびALLCINEMA on lineから。