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ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ハドソン川の奇跡」

160927 原題:SULLY(サレンバーガー機長の愛称)96分 製作・監督:クリント・イーストウッド(彼の監督作品36本中、96分は最短らしい)2009年1月15日に起きたこの事故は日本でもハドソン川の奇跡として、大々的に報じられたので、よく詳細まで覚えている。てっきりメデタシ、メデタシで終わったと思ってたが、その後、まさかこういう展開になっていたとは!多分、日本のメディアは報じてなかったと思う。

ニューヨークのラガーディア空港を離陸して間もなくカナダ・グースの群れとぶつかったから大変。なにせ6kgもある大型のガチョウだから、両翼のエンジンとも止まってしまった。⬇︎これがカナダガチョウ。こんなのがエンジンに突入しちゃったら、そらぁ命取りになるな。

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この奇跡の着水で155人全員を救ったサリー機長は、一躍ヒーロー扱いされたのだが、実は、ハドソン川着水でなく、最寄りの空港に引き返せたはずと、事故調査委員会から厳しい糾弾が。そして、公聴会で、コンピューターによる事故当時のシミュレーションが公開され、二種類のシミュレーションとも、引き返せるという結果に。

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⬆︎着水のシーンは当然C.G.を使っているが、その後のシーンは実際に2009年に起きた箇所で撮影したとか。

窮地に立たされるサリー機長が、そこで堂々と告げたのは、human factor, すなわち人的要因がまったく考慮されていないシミュレーションと反論。これにより、35秒(実際には53秒だったらしい)という判断時間を加味して、改めてシミュレーションをやり直したところ、どちらも空港手前で墜落という最悪の結果に。

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この結果には、さすがの事故調も彼の判断が正しいことを認めざるを得ず、彼の英雄的行動が確認されたという次第。最初のシミュレーションで操縦に当たったスタッフは実に17回も同じ危機的状況下で操縦練習を繰り返したことも判明していて、かなり意図的作為的にシミューレーションを作り上げた実態も明るみに。

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それにしても、一度もそうした事態を想定した訓練も受けず、1分足らずの間に着水(ditchという単語で、事故調がcrash-墜落という用語を使うたびにサリーが訂正していた姿が印象的)を選択したこの機長、現在65歳、人柄も素晴らしいようで、エンディングロールで実物が登場するが、見るからにそのようだった。彼の判断がなければ、乗客乗員155名が助からなかったはずだから、改めてサリー機長の偉大さを思い知らされた。

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左から二人目がサレンバーガー機長(65)。ちなみに演じたトム・ハンクスは60歳。それより、こんな映画を撮っちゃうクリント・イーストウッドが86歳というのが驚き!

ところで、左端は副操縦士を演じたアーロン・エッカート。本作では機長の陰に隠れて、まったく目立たないが、公聴会の最後に、進行役から次にもし同じような事態に遭遇したらどうするかと問われて、「次は7月に願いたいね」で、緊張の公聴会が爆笑に包まれた。実際のシーンかどうか知らぬが、こういう冗談ですぐ応じて、場を和ませる術は、日本人も少し見習った方がいい。

#71 画像はIMdbから。