100709 応援している日本が誇る中堅テナー、村上敏明君のリサイタルへ。生憎の本降りの中、日経ホールへ。以前の日経ホールのイメージで出かけたところ、同じ地区内で移転しており、大手町より寧ろ竹橋に近い。3階にある600人収容のホールも大変きれいで、座席の配置も工夫がされていて、どの位置からも舞台がよく見える。今日は5列目の真正面で、文句なし。
このリサイタルは「五島記念文化賞研修成果発表」と仰々しい副題がついているが、彼が研修で渡伊したのは何年も前のこと。何故今頃成果発表なのか、真意は不明。
今日のプログラムでは、初めてフランスものが加わった。どれもなかなか聴かせてくれたが、中でも「ロメオとジュリエット」(グノー)から「太陽よ昇れ」は絶品だった。これで、日本歌曲、オペラ・アリア、イタリア歌曲と併せて彼のレパートリーが一段と盤石なものになったように思う。
共演の砂川涼子さん、控えめにソロは1曲、デュエット3曲のみ。相変わらず瑞々しい洗練された喉をご披露。ただ、お見かけするところ、依然としてかなり細身で、以前の体格には戻っていないように見えた。そのことが歌に影響がまったくなければよいのだが。(余計なお世話でした)
幕間に父君にお会いしたところ、先月、イタリア・スポレート市での公演、三島由紀夫の「午後の曳航」で、好評を博したとのこと。そもそもこういう作品がオペラ化されていることすら、知らなかった。しかもオペラ化したのはドイツの現代音楽家ハンス・ヘンツェとのこと。世界初演は2006年、ザルブルク音楽祭での公演で、三原剛、緑川まり、高橋敦、小森輝彦などが出演したとか。
同じく幕間に、先日蝶々夫人で聴いたばかりの大型新人バリトン、大沼 徹氏にばったり。村上君との面識はないそうだが、次の五島記念文化賞でドイツ・マイセンへの1年間の留学が決まったので、先輩を聴きにきたとか。村上君のパフォーマンスを評して、「まるで西洋人が歌っているよう」が愉快だった。
終演後、ロビーの片隅でCD購入者に汗だくでサインをする村上君。オツカレサマァ〜!
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