ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ラ・ボエーム」@谷中会館初音ホール

160805 日本声楽家協会研究所が主宰する谷中オペラ寺劇場(てらこや)第3回の公演、知り合いが出るので初めて聴きに行った。

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4月から「海の日チャリティーコンサート」祝祭合唱団の一員として、十数回も通ったところだ。いつもは練習所だったところが、今日はきちんと劇場スタイルになっていて、違った雰囲気を感じる。何しろ立派なお寺(観智院)の真下にしつらえたホールゆえ、天井が低いのは止むを得ないが、それにしてもよく考えたものだ。

冒頭、演出の中村敬一氏から丁寧な解説をいただく。幕間ごとにこの作品の背景や作曲された裏話をされるのが、どれもこれも面白く新鮮に響いた。その中に、日本でオペラの上演というと、小ホールか、いきなり2000人ほどの大ホールで、中間の存在が西欧に比べて薄いという悩みが。そんなところを埋めるのが当ホールの役割という説明も。

また、ミミはお針子という設定だが、当時のパリにおけるお針子の実態、グリゼット(メリー・ウィドウに出てくるが)との関連など、興味津々で聞いた。

実のところ、それほど期待していたわけではないのだが、出演者が粒ぞろいで、正直、驚くほどの高水準だった。いつもながら、手軽に本格オペラが聞ける機会が増えることはファンにとっては嬉しき限りだ。今後も大いに期待したい。

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ミミを演じたソプラノの太田小百合さん。この通りの可愛らしさで、その上美声、まさにこの役にはうってつけ。

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ムゼッタを演じた後藤ちしをさん。長期ミラノ留学も体験され鍛え上げた強靭な喉の持ち主、しっとりした日本美人で、しかも長身痩躯。衣装も大変良く似合って、印象に残るムゼッタだった。

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