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大田区民オペラ、30回目の公演。1990年に下丸子の大田区民プラザで発足、以後、オペラの本公演かオペラ・ガラコンサートを開催してきており、99年春には落成なったアプリコホールのこけら落としで「夕鶴」を。その後も、主要な公演として、「コジ・ファン・トゥッテ」(2000)、「ナブッコ」(02)、「カヴァッレリーア・ルスティカーナ」(05)、「ノルマ」(07)、「シモン・ボッカネーグラ」(09)、「マクベス」(10)、「トゥーランドット」(12)など、なかなか充実した活動を続けている。
主催の大田区民オペラ協議会の代表は山口悠紀子氏。ご主人は本公演にほぼ毎回登場するバスの山口俊彦氏。アタシも「支援する会」のメンバーとしてほんのささやかながら貧者の一灯を灯しているつもり。
さて、今回のラ・ボエームだが、これまで見た公演の中でもベスト3に入るほどの出来栄えで、本当に嬉しかった。これこそ区民手作りの味わいとでも言おうから。ミミを演じた日比野 幸さんが大田区出身というのも嬉しいし、今回の出来栄えはピカイチ。リリコ・レッジェーロとスピントを併せ持つような、絹糸のように繊細な高音部、麻糸のごとく豪胆な中音部の響きには、しびれっぱなし。
一方、ロドルフォの笛田博昭氏も、今や押しも押されもしない堂々たる日本を代表するようなテノールだから、相手にとって不足がないどころの話ではない。この方、多少スロースターター気味なのか、1幕目では、本来の切れ味がとぎれとぎれの印象だったが、2幕目以降、持ち直し、見事な歌唱を披露してくれた。
他のキャストたちも、持ち味をしっかり出し切っておられたが、超のつくベテラン、加賀清孝氏(ショナール)は言うに及ばず、中でもマルチェッロの今井俊輔氏、ムゼッタの坂口裕子さんが特に印象に残った。
第4幕が始まると、早くもうるうる状態なのだが、終幕では、みっともないほど滂沱であった。
それにしても、区民オペラのレベルで、装置・照明・衣装ほかよくぞここまでと感心しきりだったし、区民オペラ合唱団、鼓笛隊、子役たちも、第2幕での活躍ぶりはまことにお見事!
ところで、プログラムを見てたら、笛田さんと、コッリーネの伊藤さんが名古屋芸大出身、ムゼッタの坂口さんが愛知県立芸大の出身と、偶然だろうが愛知県勢が3人も。そう言えば、先日、共演(?)させていただいた指揮の松尾葉子先生も名古屋出身だし、最近ノーベル賞取ったえらい先生たちも愛知出身者が何人もいるなど、今、元気なんですかねぇ、ここが。つまんないこと、最後に書いちゃったかな。
#07