150226 原題もEXODUS: GODS AND KINGS 米 150分 製作・監督:リドリー・スコット 最近はもっぱら製作を担当しているが、「プロメテウス」(2012)、「悪の法則」(2013)以来となる監督兼任。弟のトニー・スコットも製作者としてよく知られる映画人。最後の「トニー・スコットに捧ぐ」の字幕が出るので調べたら、2012に没となっていた。
旧約聖書の出エジプト記に基づくストーリーで、何と言っても1956年の「十戒」(セシル・B・デミルの監督・製作・ナレーション、チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナー主演)が余りにも有名で、当時、中学生で見ているが、各場面が鮮明に記憶に残るほどインパクトの強い作品で、ついこれと比べながら見てしまった。
ほぼ同じ描き方だが、一番異なるのは、例の紅海を渡る場面。十戒では、モーゼが杖を振りかざすと、海が二つに割れて道ができるのだが、本作では、引き潮(?)で海が浅くなりところどころ海底が露出しているところをヘブライ人が渡っていき、やがて海がすごい勢いで満ちてきて、追っ手のエジプト軍が壊滅(ラムセスは奇跡的に生還)する。
本作で、もう一つ特徴的なのは神が少年の姿でモーゼの前に現れることか。十戒では、何せ神の声だから天から降るように聞こえたのだが。更に、石板に十戒が刻まれるところは、本作ではなんとモーゼ自身が鑿とトンカチで刻んでいく手法。どちらも重々しさに欠ける演出・解釈だ。
最後は、場面転換と同時に急に老いたモーゼになっているので、何十年ぐらい一気に経過したのかと思う。ちょっと説明があってもいいかなと。モーゼはヨルダンに至る前にネボ山から死海一帯を見下ろして、彼に従う人々に、お前たちが向かうのはあっちだと死海の対岸辺りを指し示し、そこで120歳で没したことになっている。
一昨年、ヨルダンへ行った折、このモーゼが登ったとされるネボ山のいただきから死海、及びその先の大地を展望したことがあった。4月末だったが、灼熱の太陽の下、ゆらぐような大気を通して、緑少ない荒れ野が広がるばかり。これを指して、乳とハチミツの地と称したとすれば、かなり罪作りな話ではあるなと感じた。
モーゼになるのは、この人、クリスチャン・ベイルだが、あまり適役に見えない。端正すぎて、小さくまとまっちゃってるから、もっとごっついご面相の人の方がよかった。ラムセスになるジョエル・エドガートン↓はまったく知らないオージー。こちらもさしてインパクトなし。
ラムセスの第1夫人ネフェルタリになったゴルシフテ・ファラハニさんは、目鼻立ちのやたらはっきりしたイラン人女優だが、「ワールド・オブ・ライズ」、「彼女の消えた浜辺」、「チキンとプラム」、それに本作で、日本公開の全作品を見ていることに。(自慢話にはならぬが)
本作はストーリーの展開以上にC.G.の余りの出来栄えに圧倒されっぱなしの作品。
#013 画像はIMdb及びALLCINEMA on lineから