210901 KNOCK ON ANY DOOR 米 100分、1949製作、1956年日本公開、監督:ニコラス・レイ
法廷ドラマです。ジョン・デレク(なかなかの美貌です。「十戒」('56)でジョシュアを演じた典型的2枚目俳優)扮するチンピラ、仲間と悪事を重ねるうちに知り合ったエマという女性と愛し合う仲に。彼女にほだされて一旦は更生するものの、金欲しさに再び悪の道に。逃げきれず、追ってきた警官を殺してしまいます。
彼の弁護に当たるのがハンフリー・ボガート扮するモートン。実はこの二人、以前から因縁浅からぬ仲なのです。モートンには不屈の正義感があり、この札付きのごろつき、ニックの弁護を最終的に引き受けます。そして、裁判で、顔に傷のある悪役風の検事と堂々と渡り合うのですが、この時の長い長いセリフとカメラアングルでここが本作1番の見せ場です。ニックが道を踏み外したのは社会が悪い、すなわち彼を追い込んだのはわれわれ全員に責任という主張を陪審員に説くのです。
滅多に笑わないボガート、いや笑うと急に安っぽくなっちゃうので、この人は苦み走った顔しか似合わないと思います。それだけに、こうした役どころは実に上手い!長いセリフをノーカットでとニコラス・レイ監督に言われて、だいぶ思い悩んだそうです。でも、見事に演じ切りました。意外な結末もあり、期待以上に見応えのある作品でした。