ぐらっぱ亭の遊々素敵

2004年から、主に映画、音楽会、美術展、グルメなどをテーマに書いています。

「ぼくたちのムッシュ・ラザール」

120821 銀座シネ・スウィッチ 原題:MONSIEUR LAZHAR カナダ 95分

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カナダ映画は久しぶりだ。アカデミー外国語映画ノミネート作品。カナダのフランス語圏ケベックの州都モントリオールのとある小学校が舞台。ある朝、担任の女教師が教室で首つり自殺という、子供たちには余りにショッキングな事件が発生。

さっそく事後処理に奔走する校長の前に、バシール・ラザールと称する、見るからに人の好さそうなアルジェリア人が現れ、19年間も教師経験があると懸命の売り込み。

胡散臭いとは思ったものの、経歴の裏を取ることもせず、また女教師の代役が急を要することもあり、採用してしまう。実は、教師経験もないし、アルジェリアで家族を巻き込むおぞましい事件から逃れ、難民申請をしている最中。

しかし、このバシール・ラザール、天性の人なつこさで、たちまち子供たちのハートを鷲掴みしてしまう。ところが経験のない悲しさ、校長の方針とは相容れない授業を続け、ついには生徒の親たちから学校側にクレームが入る事態に発展。校長ともども学園を去ることに。

即刻退去を迫る校長に、せめて生徒たちに別れを言いたいと最後の授業をするのだった。

子供たちの描き方がまず素晴らしい!いい子役を配したものと感心しきり。

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特に主役級のこの二人が見事な演技を見せるし、愛くるしいこと!右側のアリスが、バシールに最もなついていて、一人立ち去りがたく、バシールとハグするラストシーンはたまらない。

それにしても授業中の風景が興味深い。教師と生徒のやりとりが、ごく自然で、互いに言いたいことは臆せずに言うところは、日本の11〜12歳の生徒たちとはかなり違うような気がする。文句なしに佳作。

#58  画像はALLCINEMA on lineから