121213 岩波ホール 原題:TATARAK ポーランド 87分 2009年度作品 アンジェイ・ワイダ(87)、実に息の長い監督である。
彼の盟友カメラマンの突然の死を受けて、撮影中だった、盟友の妻であり名女優であるクリスティーナ・ヤンダを主役にした作品に大きく手を加えて、出来た作品。夫の突然の死を受け入れられない妻クリスティーナ(マルタ)の独白で始まり、随所にそれが登場する。また、ドラマのメーキング・シーンも加わり、実に三重構造で展開するため、やや分かりにくいし、ドラマの筋書きが尻切れとんぼになったような感じは免れない。
医者である夫との間に出来た二人息子をワルシャワ蜂起で失ったことがきっかけで、二人の間にすきま風が。激やせする妻を心配してレントゲンで肺を調べると大きな影。余命いくばくもない事実を知る夫。妻に告げることはできない。
そんな妻マルタは、偶然祭りで見かけた美青年ボグシに強く心を惹かれる。(この辺りの描き方が不十分で、凄く唐突な印象を受ける)
しかし、ボグシがガールフレンドをいるところを偶然見て、我に返るマルタだが・・・
菖蒲祭に必要な菖蒲を取りに川辺に出かける二人。菖蒲を手に泳いで岸に戻ろうとした瞬間、川底へ沈むボグシ。生と死、老いと若さなど永遠且つ深遠なテーマを取り上げ、美しいポーランドの川辺の町を舞台に淡々と老監督が描く秀作。
#90 画像はALLCINEMA on lineから